橋本英郎公式サイト「絆」
FRIENDS

vol.15 朴一(パク・イル/大阪市立大学)

橋本英雄(以下、橋本) :(部屋を見渡しながら)先生の書籍の多さは、相変わらずですね!1年にどれくらい読まれるんですか?
朴一(以下、朴) : 1年に300冊は読むね。週刊誌もジャンルに関係なく全て読みあさるから。朝日芸能からサッカーマガジンまで、とにかく全部…これはもう、個人的な趣味みたいなもんやから。

橋本 :早速ですが、今日はお時間をとっていただいてありがとうございます。忙しいのにすいません。
: 大して忙しくないよ(笑)。ここに来るのは久しぶりやな?
橋本 :そうですね。外では何回かお会いしましたけど、大学に来るのは久しぶりです。
: 代表も含めてご活躍やもんなぁ。たいしたもんや。
橋本 :いえいえ。まだまだこれからです。うかうかしているとどんどん若くていい選手が出てくるので危機感いっぱいですよ。
: このブログは何年くらいやっているの?
橋本 :6月でちょうど3年です。

: 毎日、何人くらいの人に見てもらっているの?
橋本 :カウントをしていないので分からないです…。
: ファンクラブとかはあるの?
橋本 :ないです。
: 作ったらいいやんか。そしたらまた、違うハシモの良さを知ってもらえるやろう?
橋本 :いや、ファンクラブとかを作ると、人数がはっきりしちゃうじゃないですか?それが嫌で…漠然としておいた方が自分のためかな、と(笑)。
: ハシモらしいな(笑)。
橋本 :僕って大学時代からそんな感じでしたっけ?っていうか、聞きづらいですけど先生の目から見て僕はどんな学生でした?
: ゼミに入ってきた時はちょうどトップの試合に出たり出なかったり、の時で。それなのに意外といろんな授業にもきっちり出席していたよね。うちの大学は卒業単位をとるのが難しいというか、厳しくて。試験だけ受けておけば何とかなるっていう訳でもないので、しっかり授業に出席しないといけないのに、そういう意味ではよく卒業出来たと思うよ。結果的に4年では卒業できずに5年かかったけど、ハシモの人徳もあってのことやろうなぁ。友だちのいろんな応援も受けたり、たくさんの人に支えられていたよね。

橋本 :本当にその通りで。先生はもちろん、仲間にはすごく助けられました。
: うちのゼミは企業研修とかゼミ旅行とか行事が結構多いんやけど、時間があれば企業研修とかにも参加してくれたしね。京都にある酒屋のメーカーをまわって、ビールや日本酒、ワインを朝から晩まで呑み続けるっていう企業研修にも参加してくれたよな?
橋本 :ありましたね。先生、ワイン好きやから…半分、趣味も入っていたような…(笑)。
: (笑)。ゼミが終わってからの宴会にも参加してくれたり…そういう意味ではガンバでの練習と大学の授業をうまく両立してやっていたように思う。ハシモみたいに文武両道を目指す生徒って、練習が忙しくなって大学を途中で辞めてしまう人も多いけど、ハシモは真面目に授業にもケジメをつけて出てくれていた。他の学生もビックリしていたよ。
橋本 :引退してからも何度かゼミの集まりに参加しましたよね?確か、アウェイでの鹿島戦の後だったと思うんですけど、試合から戻ったその足で合流したこともあった。
: そうやったなぁ。彼らもハシモみたいに同世代が活躍しているのは嬉しかったんやろうなぁ。みんなで楽しく呑んだ記憶があるわ。

橋本 :僕も今でもゼミの仲間の存在は刺激になりますけどね。それぞれ違う分野とはいえ、自分をしっかりもって、やりたいことを目指して頑張っていますからね。それに、スポーツとは違う世界で生きている彼らから聞く話は、僕にとっては新鮮やし興味深い内容が多い。もちろん、先生ともいろんな話をして…大学を卒業する時とかも、相談に乗ってもらいましたよね。プロとして頑張っていくか、普通の企業に就職した方がいいのか岐路に立たされていた時に。先生には普通の企業に行くことを薦められたけど(笑)。
: そこはある意味、心を鬼にして、ね(笑)。ちょうど大学を卒業する少し前からトップの試合に出場するチャンスが増えてはいて、レギュラーをとれるかどうか、っていう時期とクロスしていたんやけど、僕としてはホンマにそのままレギュラーに定着できるのかが心配でね。サッカー選手を目指す人、能力がある人がいっぱいいる中で、本当にハシモがこの先もサッカーで頑張っていけるのか不安だったというか。それが難しいなら、早めに辞めて第二の人生を歩くのも一つの道だと思ってのアドバイスでもあったんやけどね。プロ野球の世界もそうですけど、活躍出来る選手ってほんの一握りやから。本当に心配だっただけに「君なら、一流の企業にも十分勤められる人材だ」って誘惑した(笑)。でも、ハシモの信念が強くてね。「僕はこのサッカーの世界で生きていきたいと思います!サッカーで頂点に立ってみせます!」って言うもんやから…。
橋本 :いや、絶対に言ってない(笑)。
: それは大げさやけどそういう目で僕を睨みつけたから…。
橋本 :睨んでないです、って(笑)!
: そうか。まぁいずれにしても、代表までしっかり上り詰めたんやから、僕のアドバイスを聞かなくて良かったよね(笑)。

text by/misa takamura

朴一(パク・イル)/プロフィール
*同志社大学卒業。同大学院博士課程修了。商学博士。
*専攻:朝鮮半島地域研究、日韓・日朝関係論、在日外国人の人権をめぐる諸問題。
*大阪市、神戸市、伊丹市、堺市などで外国人の人権に関する審議会委員を歴任。2005年、国会参議院国際問題調査会参考人。現在、富士火災コンプライアンス委員。
*マスコミ:NHKテレビ『ETV2000』、『アジアマンスリー』、『関西ニュース一番』、『ニュース9』、TBSテレビ『サンデージャポン』、『みのもんたのサタディずばっと』、毎日テレビ『ちちんぷいぷい』、『VOICE』、ABCテレビ『ムーブ』、テレビ朝日『たけしテレビタックル』、読売テレビ『たかじんのそこまで言って委員会』、『たかじんの非常事態宣言』、『ニューススクランブル』など数多くのテレビ、ラジオ番組にコメンテイターとして出演。
*執筆:朝日新聞全国版に『Eメール時評』(2001~2002年)、朝日新聞月刊誌『論座』に「アジア視察」(1998~2005年)、朝日新聞夕刊に「たまには手紙で」(2007年)をそれぞれ連載。著書に『在日という生き方』(講談社、1999年)、『朝鮮半島を見る眼』(藤原書店、2005年)、『在日韓国人』(ソウルポンム社、2005年)などがある。