橋本英郎公式サイト「絆」
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vol.41 おのだ徹(おのだクリニック副院長)

橋本:日本の医療の進歩って僕らが考えている以上に早いんでしょうか?
おのだ:一概には言えないですけどね。そう考えても日本の医療が進歩するためには、より日本人にあう、日本人のための『メイド・イン・ジャパン』の医療を考えていかなければいけないと思っています。

橋本:『メイド・イン・ジャパン』の医療ということであれば、最近、ノーベル医学・生理学賞を受賞し、世間を賑わせた山中伸弥さんの『IPS細胞』の研究もその1つになっていくのではないでしょうか。
おのだ:そうですね、IPS細胞を今後、いかに巧く活用できるようになるのかは、注目すべきところだと思います。IPS細胞が本当に医療に活かされる日が来た時には…ものすごいことになると思いますよ。それによって、再生医療への応用がすごく期待されると思いますから。
橋本:さきほどの『メイド・イン・ジャパン』の話に戻りますが、僕が日本代表に選ばれていたオシム監督時代、監督の口から『日本らしいサッカー』という言葉がよく聞かれました。それは、日本人の特性、スタイルを活かしたサッカーをしよう、という意味だったのですが、そのことに照らし合わせて考えると、日本の医療において、日本らしい医療を行っていく上で、一番のストロングポイントは何だとお考えですか?
おのだ:開発力や技術力はその1つだと言えるはずです。また日本の医療もサッカーと同じく、あらゆる面において規律を守ることに関しても徹底していますからね。それもストロングポイントの1つだと思います。
橋本:サッカー選手は日々の練習を積み重ねて、試合を戦って、成長していくものですが、お医者さんはどんな風にパワーアップしていくのでしょうか。
おのだ:やはり、基本は経験値をあげていくということになると思いますよ。単純に診る患者さんの数にも成長させられるところもあるし、その中でどんな経験を積み上げるかで成長できる部分も多い。僕は幸い、地方の大学出身だったので、医学生の時代に手伝いにいく先も大抵が地方の病院が多かったんですよね。それゆえ、都市型の病院に比べると、施設や医療体制が万全ではないことも多かった。でも、そういう場所に勤務したことで、現状に対してどんな判断をすべきかを常に試行錯誤するようになったし、考えるようにもなった。つまり、医療の一番底辺の部分から都市型病院のような最高の医療も見せていただいて、いろんな経験を積むことができましたからね。自分がキャリアを積む上で、このことはとても大きな財産になっていると思います。あとは、そういう自らの経験に、学会などでの学ぶチャンスをどう活かしていくか。今の時代は情報社会でインターネットを通じていろんな情報が溢れていますからね。その中で何を取り入れて、どう活かしていくのか。やはり、医者というのは『浦島太郎』状態になってはいけないと思うんです。医療の世界は1分、1秒と進歩していっているからこそ、そこにしっかりと着いて行く、それを取り入れて消化していく、という繰り返しの中で自分を育てていかなければいけないと考えています。

橋本:医者になって良かったと思いますか?
おのだ:そうですね。良かったと思います。橋本選手はサッカー選手になって良かったと思いますか?
橋本:いいことばかりではないけれど、良かったと思います。たくさんの人の前でプレーすることの楽しさもあるし、自分の夢を実現し、更に広げていく面白さも感じられますから。ただ、一方で応援してもらうことに対して『頑張らないといけない』というプレッシャーもありますからね。それに対して、僕自身がいかに『こんな舞台でサッカーができるんだ』という喜びの方にフォーカスをあてて、気持ちを高められるか、だと思っています。日本代表に選ばれた時にもすごく感じたのですが、国を背負って戦い、自分のプレーが日本国民にどれだけの影響を与えるかということを考えすぎるとプレッシャーになってしまうけれど、『こんな貴重な時間を与えてもらっている。こんな幸せなことはない』と思えれば、プレッシャーより楽しさの方が強くなる。要は自分の気持ち次第なんですよね。特にプロになってからは、その気持ちの部分がプレーを左右する割合がびっくりするくらい高くなるからこそ、そこは大切だと思います。
おのだ:いいプレーを支えるものは、メンタルだ、と。
橋本:そもそもプロの世界というのは才能豊かな選手がプロになり、生き残れる世界だと思うのですが、僕はどちらかというと、ひたむきに…才能ある選手の影で地道にサッカーをして、なんとか踏みとどまったタイプですからね(笑)。それなのになぜ生き残れたのかと言えば、プレーを楽しむという方向に自分をもっていけるメンタルがあったからだと思うんです。だからこそ、そこは今後も強く持ち続けたいと思います。ただ…こういう自分の経験を人に伝える時に…特に最近は、プエンテFCの活動を通じて子供たちに接する機会が増えたから余計に感じるのかも知れませんが、すごく難しいなと思います。実際、子供たちに「得意なプレーはなんですか?」と尋ねられても、僕にはシュートやドリブルといった、分かりやすい武器がないですから。気持ち、とか察知力と言っても子供にはなかなか伝わらないし…困ります(笑)。
おのだ:でも、そういう気持ちの部分って、年齢を問わず、また、何をするにもすごく大事なものだと思いますよ。
橋本:そうですね。以前、オシムさんが言っていたのですが、『どれだけ素晴らしい能力を持った代表選手でも、それは能力の2割程度で、残りの8割は気持ちだ』と。言い方を変えれば、8割の気持ちがあってこそ、残り2割の実力を100%で発揮できる。裏を返せば、いくら実力があっても、メンタリティが8割に達しない選手はイコール、技術も出し切れないということですが、本当にその通りだと思います。
おのだ:メンタルって鍛えられると思いますか?
橋本:はい。先生もおっしゃっていた経験を積むことで鍛えられると思います。もちろん、どれだけ年齢を重ねても、いつまでたってもメンタリティの弱い選手も中にはいますけどね(笑)。そういう選手はおそらく、時間を重ねているだけで本当の意味での経験を積めていない。それは自分自身の持って行き方次第だと思います。メンタルと言えば、近年は医療の世界でも心療内科が世に必要とされている。先生はそういう分野にも興味がありますか?

おのだ:将来的には…というか、ここ数年以内に、自分の病院にもストレス内科という専門外来は立ち上げたいと思っています。今の時代、ストレスのない人の方が少ないからこそ、そういう気持ちの部分にも寄り添える医療にも取り組んでいきたい。単に薬を与えるだけではなく、患者さんの気持ちに寄り添って、時間をかけて、リラックスをさせるということも大事な治療ですからね。それは今後医療の世界がしっかりと考えていかなければいけない部分だと思っています。
橋本:精神的な部分、つまり、内面を整えることで他の病気が治ることもあるって聞きますからね。病は気から、という言葉もありますが、それはすごくよく分かる。
おのだ:まさにそうなんですよ。例えば、治療をするにあたって、患者さんに予め「副作用が出ますよ」と言うことによって、本当に副作用が出ることってありますからね。おそらく、拒否反応、恐怖が先に立つせいだと思うのですが、医者としてはその辺りもしっかり見極めながら治療を進めていくことが大事だなと感じています。
橋本:というわけで。先生の将来に関する話も聞けたところでそろそろ対談を締めたいと思います。今日はありがとうございました。月に1回くらいのペースではお会いしていますが、なかなか聞いたことのない話だったのでとても興味深く、面白かったです。
おのだ:こちらこそありがとうございました。またプエンテFCの方も機会があればのぞきたいなと思っていますので、サッカーの方とあわせて、スクール活動の方もぜひ頑張って下さい。
橋本:ありがとうございます。お力添えをいただいている先生をはじめとする皆さんの期待を裏切らないように、また応援していただいていることに対してお返しをするためにも、本職のサッカーはもちろんのこと、スクール活動も並行して頑張りたいと思っています。ありがとうございました。

text by misa takamura

おのだ徹/プロフィール

開院50年の節目を迎えた大阪市阿倍野区のおのだクリニック副院長。地域密着をモットーに、内科全般から皮膚科及び画像診療に至るまで幅広い医療を行うドクター。
おのだクリニック
大阪市阿倍野区西田辺町2-8-2 TEL:06-6691-0872
http://www.onodaclinic.com/

vol.40 おのだ徹(おのだクリニック副院長)

橋本:医者になろうと思ったきっかけは、ご実家が開業医だったから、ですか?
おのだ:そうですね。うちは父親が内科医で、姉二人も内科医と皮膚科医ですからね。父や姉を見て、という部分も大いにあったと思います。

橋本:確か、中学までは地元の学校に通われて、高校から岡山に行かれたんですよね?
おのだ:そうなんです。寮生活をしながら岡山の高校に通っていました。
橋本:じゃあ、意外と規則にも縛られて、高校生活を謳歌する、という感じではなかった?
おのだ:僕にとってはまず親元から離れるというのが嬉しかったので、意外と寮生活は楽しみましたよ。でも後から、世間一般で言うところの高校生活はもっと楽しいものだったんだな、と気づきました(笑)。僕の高校時代は、学校の帰りに買い食いしたり、映画を観に行ったり、恋愛をしたり…そういうのは皆無でしたから。学校から帰って夕食後、19:00~22:00までは自習の時間とされていて、テレビを観られるのも、22時からの1時間と決められていましたしね。だから、僕の高校時代…1988年から1990年のことが全く分からない(笑)。おかげで90年のイタリアW杯も全くリアルタイムでは観れなくて、悔しい思いをしました。
橋本:そこ?! さすがサッカー好きですね~。じゃあ、その時期だけは鬼のように勉強をした、と。
おのだ:いや、そうでもなかったです。さっきも言ったように、僕はどちらかと言えばあまり手本にならない生徒でしたから。悪いこと…といってもそんな環境なのでやることは限られていますけど…自習時間もマンガを読んだり、友だちと喋っていたりすることも多かった。ただ、全寮制だったことで、自分で何でも出来るようにはなりましたね。掃除や洗濯も含めてそれは後の人生に活かされました(笑)。
橋本:携帯もまだ普及していない時代ですよね?

おのだ:そうですね。だから外部との接触も殆どなく…雑誌なんかを買いにいけるのも土曜日しかなくて、しかも、当時の地方の書店には必ず遅れて届きましたから。いや、まだ売っていたらマシな方で、欲しい雑誌も手に入らないことの方が多かった。
橋本:じゃあ、その反動で、大学あたりからファッションにも目覚めた、と?
おのだ:いや、大学に入ってからも、2年間はまだ寮生活が続きましたから。しかも、6畳一間しかない窮屈な部屋で暮らし、寮に帰ると身体がかゆくなる、みたいなこともしょっちゅうでした(笑)。高校時代もそうでしたが、シャワーを使える時間が決められていて、それ以降に帰るとみんなが浸かったあとの湯船のお湯で洗うしかない、というような不潔な生活をしていました(笑)。当時は違和感なくやっていましたが、今になって考えると二度とできない、というような経験が多かった気がします。
橋本:お医者さんを育てる学校となれば、もっとセレブな環境が整っていそうな気がしますけど、そうじゃないんですね(笑)。じゃあ、弾ける時代が来たのは大学3年生以降か…。
おのだ:そうなりますかね(笑)? でも確かに、3年になると一人暮らしをしてもいいし、車にも乗れるようになりましたからね。そこからようやく、世間並みの生活が始まったという感じです。
橋本:話が前後しますが、高校ではサッカーをしようとは思わなかったんですか?
おのだ:そもそも、高校にはサッカー部がなかったので、バスケットをしていました。それもあり、僕のサッカー選手としての人生は中学時代で終わってしまったので、今はいつかプエンテFCで1分でもいいから試合に出るとうのが目標です(笑)。

橋本:いいじゃないですか! どうせなら子供たちに混ざってサッカー教室から参加します(笑)? ただ、普段運動をしていない人が急にスポーツを始めると、大けがに繋がっちゃうかもしれないので、気をつけてください。実際、急に運動をしてケガをする人のケガのレベルって、重いですからね。捻挫レベルではなく、アキレス腱を切断するとか、骨折するとか、重度の肉離れを起こすとか。おもしろがって急に入ってそういう目に遭った人をたくさん知っていますから、くれぐれもご注意を(笑)。だって、先生は確か、運動不足だって言っていましたよね?
おのだ:はい。医者でありながら、自分は不健康そのもの。いろんなところにガタがきて最悪です。なんとか改善したいなと思っているのですが、自分のこととなるとなかなか、そうもいかない(笑)。
橋本:今の時代、いろんな医学の進歩があると考えれば、治療ということでも改善できる部分はあるのかも知れませんが、やっぱり根本的な部分で、身体を動かす、だとか運動をするというのはすごく大事なんじゃないかと思います。
おのだ:いま『根本的』とおっしゃいましたが、僕は医療にも、原点に戻らなければいけない部分がたくさんあると感じているんですよね。もちろん、いろんな研究が進み、進歩していくのはすごくいいことですが、それだけではいけないんじゃないか、と。例えば、橋本選手も耳馴染みがあると思いますが、ピロリ菌ってありますよね?
橋本:知ってます。ピロリ菌! 一時はよく聞きましたよね?
おのだ:胃潰瘍の原因の1つとされているピロリ菌ですが、体内から除菌するためには、抗生物質2種類と、いわゆる胃薬を飲むんです。ですが、その抗生物質というのは、日頃から我々の内科でも出すし、外科や耳鼻科でもよく出されるということもあって、体内に耐性菌ができてしまい、いざピロリ菌を除去するために飲んでも除菌率が非常に低くなるというデータがあるんです。それに対し、今年(2012年)、ある日本人医師が『LG21などの整腸剤を飲んでから薬を内服した人と、整腸剤を飲まずに薬を内服した人では、前者の方が除菌率が高くなる』という研究結果を発表された。これは、ある意味、原点に立ち返るという意味で興味深いことでした。と同時に、これを受けて僕が感じたのは、新しい医療、最先端の医療も大事だし、医療の発展はもちろん目指すべきですが、それは原点をないがしろにするということではない、ということです。また、次々と開発される薬に頼るばかりの医療ではなく、もっと予防医学の部分も見つめ直す、そういう原点に返る必要があるんじゃないかということを最近はよく感じています。

text by misa takamura

おのだ徹/プロフィール

開院50年の節目を迎えた大阪市阿倍野区のおのだクリニック副院長。地域密着をモットーに、内科全般から皮膚科及び画像診療に至るまで幅広い医療を行うドクター。
おのだクリニック
大阪市阿倍野区西田辺町2-8-2 TEL:06-6691-0872
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vol.39 おのだ徹(おのだクリニック副院長)

橋本:さきほど、先生の専門は内科だとおっしゃいましたが、他にもいろんな分野の医療に携わっていらっしゃるんですよね?
おのだ:もともと父が内科医だったので僕も内科を専門にするようになりました。ですが、それぞれに専門分野があり、専門医が専門分野を診ることが殆どの大学病院とは違い、開業医はある意味、なんでも屋さんで…サッカーで言うところのオールランドプレーヤー的な意識で患者さんのニーズにあった体制、医療を提供していかなければいけない。そういう意味では、内科に限らず、ある程度は何でも診ていますよ。その流れから、皮膚科にも携わるようになり、前に橋本選手にもお話した『ナチュラミド モイスチャージェル(*注2参照)』を開発したりもしています。

橋本:最近はコクミンでも見掛けるようになった、あのジェル、僕も使っていますよ! サッカー選手もこれだけ外気にさらされる仕事ですから。特に冬場は乾燥して、肌がパリパリになったりもするので、すごく役立っています。
おのだ:ありがとうございます。正確には、僕の方で開発したものを一般商品化する際に、コクミンさんに販売していくことになりました。もともと皮膚科に来院される患者さんにはアトピー性皮膚炎に苦しんでいらっしゃる方も多く、その時に顔に塗る保湿剤として処方するのは、大抵、『ワセリン』などが多かったんです。要は、アトピー性皮膚炎の治療薬であるステロイド剤ばかりを塗っていると、どうしてもステロイドの副作用も出現してしまう。そこで、そのステロイドのエスカレーションを防ぐためにワセリンなどの保湿剤を処方していたのですが、ワセリンは基本的に肌の表面だけをコーティングするようなものですからね。根本的な解決、つまり肌の改善にはならない。しかも「ワセリンを塗ると顔がテカテカに光って嫌だ」とか「かゆくなる」という声を患者さんからよく聞いていたので、何かいいものはないかと思案していたところ、いろんな方にアドバイスをいただいて、モイスチャージェルにたどり着きました。
橋本:簡単に商品の特徴を教えてもらえますか?
おのだ:肌の元気さを保つ成分の1つに『セラミド』があるんですが、これが減少すると肌に元気がなくなってしまい、外的な刺激を受けた時にダメージを受けやすくなるんです。そこで、本物のセラミドを使うことによって皮膚が改善されていくんじゃないか、という発想から、セラミドを増やすための保湿ジェルを作ろうということになりました。

橋本:単純な発想から、とおっしゃいましたが、ある意味それは、先生がもともと皮膚科が専門ではないという部分で、フレッシュな目で見れたからこその発想だったかも知れないですね。
おのだ:そうかも知れません。普通はなかなかセラミドだけで、とは考えにくいかと思うのですが、僕はたまたま内科が専門でしたから。全く先入観なくいろんなことを見れたことでセラミドに着目できたんだと思います。
橋本:一般的に売られている化粧品にセラミドが入ったものはないんですか?
おのだ:いえ、入っている商品もいくつかあります。ですが、今回開発したモイスチャージェルのように、ビオセラミド WS1-BG(馬由来天然セラミド:セレブロシド使用)が5%も入っているような商品は、おそらくないと思います。それもあってだと思いますが、うちの病院に来院される患者さんにもすごく喜んでもらっていますしね。実際、僕もずっと肌の乾燥を訴えていた80才のおじいちゃんの肌がプリプリになっていくのを見ると、嬉しくなります。
橋本:ところで、セラミドというのは、単純に加齢とともに減るものなんですか?あるいは他の外的要素があって減ることもあるのでしょうか。
おのだ:基本は、どれだけお手入れをされている方でも加齢とともに確実に減ります。そういう意味では、皮膚のハリ感がまだ損なわれていない20才の子が使ってもあまり効果は感じられないかもしれないですが、アトピーや乾燥肌など、肌が弱い方に使っていただいたら間違いなく他の保湿ジェルとは違うというと実感していただけるはずです。…ってすいません、なんだか美容対談になっちゃっていますね(笑)。

橋本:いや、女性のファンの方もいらっしゃるんで、たまにはこういうのも面白くていいなと思いますよ。若干、僕が話についていけているか、が心配ですが。
おのだ:いや、十分です(笑)。
橋本:よかった。でも、真面目な話、さっきも言ったように、プロサッカー選手には意外と肌に気を遣っている人も多いですからね。夏場は練習から日焼け止めを塗っている選手もいるし、冬場は乾燥するせいか、シャワー後に化粧水などで顔をばしゃばしゃとお手入れしている選手もいる。そういう意味ではこれを読んでくださっている男性の方も意外と食いつくかも知れません(笑)。
おのだ:そうなると嬉しいです。ちなみに、今回はこのモイスチャージェルとあわせてリップクリーム(*注3参照)も売り出しましたが、来年(2013年)の2月には同じシリーズでリフトアップジェル(*注4参照)を出す予定にしています。これは…自分で言うのもなんですが、読んで字のごとく、本当にお肌がキュッと上がります。即効性と持続性を兼ね備えた商品なので、こちらもまた楽しみにしておいてください。ちなみに、女性ファンのために僕が代表して聞きますが、橋本選手は普段、どんな肌のお手入れをしていらっしゃるんですか(笑)?
橋本:そこ、興味ありますか?! 普段は化粧水くらいですが、就寝前には、メンズコスメみたいなのと、このモイスチャージェルを併用して使っています。基本的に、あまりマメなタイプではないので、日によっては使うのを忘れることもありますけどね(笑)。

text by misa takamura

(*注2)
『home +』 モイスチャージェル ナチュラミド50g 2,940円(税込)
詳しくはこちら ⇒ http://www.hmp-osaka.com/

(*注3)
『home +』 リップケアエッセンス ナチュラミド10g 1,260円(税込)
詳しくはこちら ⇒ http://www.hmp-osaka.com/

(*注4)
『home +』 リフトアップジェル
2013年2月頃に発売予定

おのだ徹/プロフィール

開院50年の節目を迎えた大阪市阿倍野区のおのだクリニック副院長。地域密着をモットーに、内科全般から皮膚科及び画像診療に至るまで幅広い医療を行うドクター。
おのだクリニック
大阪市阿倍野区西田辺町2-8-2 TEL:06-6691-0872
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vol.38 おのだ徹(おのだクリニック副院長)

橋本英郎(以下、橋本):先生、今日はお忙しいところ、ありがとうございます。まずは僕の方から先生を紹介させていただくと、出会いはガンバ大阪のスーツスポンサーであるBESPOKE TALOR DMGのコニーさん、こと小西正仁さんに先生をご紹介いただいて。そんな縁で一気に距離が縮まって今では、月に1回は食事をしていますよね? おまけに今年(2012年)の11月に、僕がサッカースクール『プエンテFC サッカースクール』(*注1参照)を立ち上げた際も、ユニフォームスポンサーとして、いろんなサポートをいただいています。ちなみに、先生は無類のサッカー好きです。
おのだ徹(以下、おのだ):無類…かどうかは分かりませんが、もともと中学生まで自分もサッカーをしていたこともあり、よく観ます。海外サッカーも、日本のJリーグも、代表戦も…どこかのチームを応援するというより、サッカーを観るのが好きなんです。

橋本:それは無類の、だと思いますよ(笑)。ちなみに、副院長をされている病院『おのだクリニック』は、僕の実家にも近い阿倍野。つまりセレッソ大阪のホームタウンですよね。
おのだ:はい。それもあって、セレッソ大阪のホームゲームにはよく足を運びました。ただ基本的に僕は『観る』ことが好きですから。C大阪に限らず、G大阪の試合やヴィッセル神戸の試合も観に行ったことはあります。また、最近は橋本選手とお近づきになれたこともあって、やたらと神戸に対する思い入れが変わってきましたから(笑)。神戸の試合は全部、スカパー!で録画して観ていますよ。
橋本:ありがとうございます。親近感を持っていただいて光栄です。そう言えば去年(2011年)、僕と知り合う前にもG大阪の試合を観に来てくださったんですよね?
おのだ:G大阪が1-0で勝利した11月3日の鹿島アントラーズ戦です。橋本選手は試合終了間際に出場されていました。
橋本:去年は殆ど試合に絡めなかったことを思えば、僕が出場した数少ない試合を見てもらえて嬉しいです。
おのだ:優勝争いの最中だったこともあり、チケットは完売だったんです。でも鹿島サポーターのところに作られたG大阪ファン用の席のチケットならあるということが分かり、そこで観戦しました。

橋本:一応、G大阪を応援してくれたんですよね(笑)?
おのだ:はい。カードを観て、自分の地元に近い、例えば関西のチームが絡んでいる試合は、自然とそっちを応援してしまいますから(笑)。
橋本:その後、知り合った訳ですが、ピッチで観た僕と、実際に会った僕とで印象は違いましたか?
おのだ:僕にとってプロサッカー選手は憧れというか、尊敬する存在ですからね。とにかく、テレビで観ていたような素晴らしい選手と食事を食べるという事実に緊張しすぎていたので、あまり記憶がない(笑)。というのも、僕の中では08年のクラブW杯、マンチェスター・ユナイテッドVSG大阪戦で観た橋本選手がすごく印象に残っていて。試合終了間際に、右サイドから攻め上がって、MFルーカス(現FC東京)選手からパスを貰って、ゴールを決めた。残念ながら試合は負けてしまったけど、あの時のプレーが今も頭に焼き付いています。
橋本:サッカー界以外の人に会うと、必ずと言っていいほどマンU戦の話をされます。やはりクラブW杯となれば、観ている人の数も全然違うんでしょうね。
おのだ:いや、あのG大阪がすごかったんじゃないですか? なんか、とてつもない夢を魅せてもらったような…そんな印象でした。

橋本:ありがとうございます。逆に僕の先生に対する第一印象は…おしゃれな先生だな、と。失礼ながら、あまり先生っぽくないと言うか…白衣を着たらまた印象が変わるのかもしれないですけどね(笑)。僕らの世界にもドクターは必ず欠かせない存在なので、そこまで距離を感じる職業ではないけど、やはり『先生』と呼ばれる人にはなぜかピシッと背筋が伸びるものですからね。ところが、先生は最初からすごく親しみやすく、話しやすかった。ただ…改まって考えると、いつも結構いろんな話をしているのに、身体のケアとか、病気の話は殆どしたことがないですね(笑)?
おのだ:確かに、言われてみればそうですね。奥さまが第二子を妊娠中だった際に、多少その話は聞いた気がしますが…。
橋本:お医者さんがサッカーを観るときってどんな風に観るんですか? 僕の知り合いの整体師さんとかは、知らず知らずのうちに専門的な目で観ていることが多いらしくて。例えば、「あの選手は走り方のバランスが崩れているから、疲れているんだろうな」とか…。
おのだ:確かに外科医や整形外科医の方はそう言う見方をされるかもしれませんね。残念ながら僕は専門が内科のせいか、普通に観ているだけですけど(笑)。そう言えば、奥さんの話で思い出しましたが、二人目のお子さんがお生まれになったんですよね! おめでとうございます!
橋本:ありがとうございます。12月4日に、男の子が生まれました。まさに一姫二太郎です。サッカーを頑張る上でも励みになります。ただ、今年の神戸は残念な結果に終わってしまいましたからね。監督交代など、いろんなことがあったとはいえ、僕はある程度、コンスタントに試合に出してもらっていただけに、結果には責任を感じています。といっても、終わったことを嘆いても時間は取り戻せないですから。来季は1年でJ1に戻れるように…僕にとっても未知の世界であるJ2リーグでしっかり結果を残せるシーズンにしたいと思っています。

text by misa takamura

(*注1)
プエンテFCサッカースクール
詳細、入部に関するお問い合わせは下記まで。
http://www.puentefc.com/

おのだ徹/プロフィール

開院50年の節目を迎えた大阪市阿倍野区のおのだクリニック副院長。地域密着をモットーに、内科全般から皮膚科及び画像診療に至るまで幅広い医療を行うドクター。
おのだクリニック
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vol.37 中川聴乃(バスケットボール選手)

橋本:そう言えば、以前から一つ聞いてみたいことがあって。バスケットの選手がシュートを打つときって、ボールの弾道っていうか…自分の手からボールが離れてゴールが決まるまでの弧を描く弾道みたいなものって見える?
中川:他の人のことは分からないけど、私は基本的にゴールを見て打つ感じだから、ボールの弾道は特に気にしていないし、弧の角度などをイメージしてシュートを打つこともはないかな。
橋本:バスケットの選手で、その弧を見える人っていないのかなぁ。なんていうか…ボールを投げた瞬間に、自分の投げる角度とか、弧を描く感じが見えるというか…。
中川:どうだろ…基本的には、そこをイメージして投げている人は殆どいないんじゃないかと思いますけどね。逆にサッカーのフリーキックの時に、それをイメージして蹴る人っているんですか?
橋本:横浜Fマリノスの中村俊輔さんはFKの時のボールの軌道が見えるらしい。だから、例えば、ここにボールを落とすためには、こういう軌道を描けばいいっていうことをイメージして蹴るらしいよ。そう言えば、前に日本代表で一緒だった時に、各自が手で持っているボールをある地点に投げ入れるっていう遊びをやっていたのね。そしたら俊さんが「その角度で入れても殆ど入らないよ。こういう軌道を描いて投げてみなよ」みたいな話をしていて。実際、俊さんは、ボールを入れたい地点と自分との距離の間に生まれる空間を見極めた上でゴールまでの軌道を描き、それにあわせてボールを投げる、と。で、「んん?!」と思ってよくよく話を聞くと、セットプレーの時も一緒らしく、ゴールを見てというよりは、自分が描く軌道にあわせてボールを蹴る、って話をしていたんよね。そういえば、ずっと前のテレビ番組で俊さんの『空間能力』がすごく高いっていうことが取り上げられていたのを見たことがあるけど、それってバスケット選手にも言えるんじゃないかなってふと、思ったから聞いてみたんだけど。だって、バスケットの選手ってゴールの後ろのボードなんかに当てずにサクサク、ゴールを決めちゃうでしょ?

中川:そうですね。でも、基本は軌道を意識して投げている人は少ないと思う。実際、試合が進むにつれて疲れてくると、ボールの軌道がどんどん低くなってしまって…ゴールまで一直線に投げるみたいな感じになって周囲からは「上げろ!上げろ!」ってよく言われるんです。結局、疲れてくると腕力がなくなってきて上に投げようと思っても投げられなくなってしまう。でも、それを思うと…意識していないだけで軌道というのはある程度、自然と思い描いて打っていることもあるかもしれませんね。
橋本:今はとにかくしっかりと足を治すことが先決だろうけど、復帰後の目標などは描いたりしている?
中川:とりあえず今は最初にも話したように、来年4月くらいにはチームの練習に合流できたらいいかなと思っているので、まずはそこからですね。当然、選手として目標はあるけど、まずは動けるようにならないと何も始まらないから(笑)。
橋本:前にちらっと聞いたことがあるけどバスケットのシーズンって確か10月~3月よね。試合数は年間でどのくらいあるんだっけ?
中川:リーグ戦は、同じチームと4回対戦することになるので、全部で28試合。その他カップ戦とか天皇杯があるから…1シーズンはマックスでも40試合前後だと思います。だからシーズン中は結構日程が詰まっています。
橋本:それ以外の6ヶ月はひたすら練習しているの?
中川:シーズンによっては9月からリーグがスタートする年もあるけど、基本は10月~3月なので、それ以外はひたすらトレーニングです。シーズンが終わってすぐの4月は長いオフが1ヶ月くらいあるんですけど、それ以外はひたすら練習をする。
橋本:しかも1チームわずか15人くらいでしょ? めちゃめちゃハードそうよね。確か、3部練習とか4部練習とかもあるって言ってたよね?

中川:ありますね。4部練習の時は、朝食を食べる前に6時くらいから1時間程度身体を動かして、朝食を食べて、9~12時まで練習して、昼食を食べて、15時半くらいから3時間程度練習をして、夕食を食べて、仕上げは20時くらいから1時間ほど…そこは練習というより、シューティングとか、技術的な練習が多い感じです。といっても、私はシャンソンに入ってから殆どケガをしているので、フルで全部の練習をやったことって実はまだ一度もないんですけどね。
橋本:今年で何年目だった?
中川:6年目ですね。
橋本:じゃあ、足が治って戻った時が大変かもね。それだけ練習をして嫌になることってないのかな?
中川:ゲームがない時期は…さすがに嫌になることもあります(笑)。
橋本:オフはある?
中川:週に1回はあります。でも連休は年に1~2回あればいい方だと思う。7月に毎年、1部、2部に関係なく、いろんなチームが集まってサマーキャンプというのをするんですけど…そのあとはいつも1週間くらいの休みがありますしね。ただ、その間にジャパンに選出されると、そのオフも潰れて合宿に招集されちゃったりもするので結局休めない。
橋本:うちの遠藤保仁状態やね(笑)。代表と言えば、確か聴乃ちゃんもジャパン入りしているよね?いつから?
中川:高校生の時からです。
橋本:え?!高校生が代表に?それってバスケット界では普通のこと?

中川:普通ではないかな…でも私が高校生で選ばれた時は、同年代から3人選ばれていました。これはかなり珍しいケースだったみたいですけど。でも試合にはサブで出るみたいな感じでしたから。その時に「やっぱりいくら選ばれても試合に出なきゃ意味がない」と思ったことも後々、自分が頑張るきっかけになった部分はあった。
橋本:そんなに毎日ずっとバスケットをやっていて…しかも大きなケガをして、もういいかなって思うことはない?
中川:今のところは、まだないです。嫌になることは正直あるけど、でも目標があるから、そこにたどり着くまでは辞められないなっていう思いは強いです。
橋本:それがさっき言っていた『選手としての目標』?
中川:はい、今はとりあえずチームに戻って試合に出られることが一番ですけど、その後は、やっぱりまた代表に復帰したいです。
橋本:聴乃ちゃんが感じる『代表』の魅力とは?
中川:レベルが高い人の中でプレーすることの楽しさというか。動いていても、より自分の良さが引き出されるような感じがするし、実際に出せるし、「ああ、こういうことも出来るんだ!」みたいな発見もあって、刺激もあって、本当に楽しい。
橋本:世界の中での日本女子ってどのくらいのレベル?
中川:どうだろうなあ。まずアメリカはダントツに強くて、あとは…オーストラリアとロシアも強い。で、アジアでは最近は韓国が頭角を現しつつあります。少し前までは中国がダントツ強かったんですけど、最近はその差が縮まって来た感じもありますしね。
橋本:強いチームとの差って何?

中川:やっぱり体格差あると思う。しかも中国の選手って身長が高いのに動けるし、シュートの精度も高い。それに比べると日本は、中国や韓国の身体能力的な強さになかなか技術で対抗できないという感じはある。ただ日本人にも最近は背が高くて、俊敏な選手が増えてきているので、差は縮まりつつあると思います。/p>
橋本:そうかあ、そんな話を聞いていたら試合を観に行きたくなってきたわ。でも大阪に女子のチームはなかったよね?
中川:ないですけど、でも、試合は関西でも結構しますよ。大阪や奈良、京都や神戸でも何度も試合をしていますしね。また時間があれば、観に来て下さいよ。
橋本:ぜひ行きたいね!お互いもう少し復帰までに時間がかかりそうだけど、しっかり治った暁にはお互いの試合を観戦することにしようよ!
中川:いいですね!私もぜひまた生でサッカーを観てみたいです。橋本さんは年内復帰はできそうですか?
橋本:おそらく…ただ、復帰しても今年は「焦らない」がテーマだから。せっかくこれだけ長い時間をかけて治したのに再断裂したら最悪だから、とにかく焦らずマイペースで復帰を目指すよ。今日はどうもありがとう。聴乃ちゃんはまだしばらく病院生活が続きそうだけど、うまく気分転換をして頑張ってね。
中川:ありがとうございます!

text by misa takamura

中川聴乃/プロフィール
1987年4月26日生まれ。長崎県出身。182センチ。フォワード。地元長崎の仁田小学校から純心中学、純心高校と進み、高校一年生時に名古屋の強豪、桜花高校に転入。その高校3年生時には日本代表に選出される。卒業後はシャンソン化粧品に入社。シャンソンVマジックの選手として1年目から活躍し、同年のドーハアジア大会の日本代表にも選出された。その後は膝のケガに苦しめられる時期が続き、今年、手術を決意。無事手術を終えた今は、リハビリをしながら来年の復帰を目指している。