橋本英郎公式サイト「絆」
FRIENDS

vol.24 たむらけんじ(芸人)

橋本 : たむけんさんは引退とかって考えないもんですか?
たむけん : う~ん…理想としては、いいところでやめたいけどね。いいところっていうのは、人気が絶頂というか、そこでたむらやめんの?っていうところで辞めたいなって思ったりもするけど、この世界ってホンマに麻薬やから、やめれるか分からんなぁ。

橋本 : 麻薬ってどういうことですか?
たむけん : ウケた時なんか、たまらんもん。あの笑いをとるって感覚は、ホンマにたまらん。麻薬やわ。
橋本 : 小さい時から芸人さんになりたかったんですか?
たむけん
: いいや。俺は、普通に獣医さんとかになりたかったから、芸人になりたいなんて、全く思っていなかったよ。
橋本 : どの瞬間に自分が面白いって気づいたんですか?
たむけん : 面白いって気づいたと言うより、人前でそういうのをするのが好きなんやな、アホなことをするのが好きなんやな、っていう自分に気がついたっていう感じかな。自分が面白いなんて、全く思っていなかったし。で、高校を卒業するタイミングで、大学には行きたくなくて、就職もしたくなくて、じゃあ、何をする?ってなった時に、吉本の学校があるのを知って、行ってみよう、と思ってさ。そのまま、惰性できたって感じよ。実際、俺は花月とかも観に行ったこともなかったしね。唯一、ダウンタウンさんがやっていた「四時ですよーだ」って番組は、親父にビデオを買ってもらって毎日のように録画して、飯を食いながら観る、っていうことをしていたけど。

橋本 : 芸人さんとしては、笑うことを追究したいのか、売れることを追究したいのかどっちですか?
たむけん : 俺だけじゃなくて、芸人さんにはおそらく、売れることを追究している人ってあまりいてないと思うよ。やっぱり日々,お客さんを笑わせたいっていうことの積み重ねが売れて行くっていうことだとも思うし。実際、めっちゃくちゃ面白い人もやっぱり簡単には売れへん世界やからね。例えば、千原兄弟のジュニアさんなんて、今ももちろん凄いけど、あの人はホンマに昔から凄かったからね。あの人の面白さはえげつなかった。俺にしてみたら、ダウンタウンの松本さんの次にくるくらいの人やと思ってるから。
橋本 : でも、意外と売れるのは遅かったですよね。
たむけん : そういうことなんよ。面白さは昔から全く変わってないのにさ。でも、この世界って運やタイミングがあったりするから。そういう意味では、一時期「お前ら、顔がええだけやん?」的な子が出てくる時代が結構長かったりもして…その間は、ジュニアさんやジャリズムの渡辺さんらも埋もれていたりしたけど、俺は絶対にあの人らは面白いと思ってたからね。だから出てきてくれて、すごい嬉しい。やっぱりこの世界は面白い人らが出てくる場所なんやと思えたから。多分、あの人らは絶対にもう落ちないやろうしね。ケンドーコバヤシなんかもそうやけど。
橋本 : ケンコバさんもめっちゃ面白いですよね。
たむけん : おもろいな~。あいつは、同期なんやけど、学校の時からおかしなくらい面白かったから。中川家もかなり面白かったし…あの3人は異常やったね。「俺、えらいところに入っても~た」と思ったもん。で、同じ同期でも、陣内智則は努力の人っていう感じかな。
橋本 : 一時期、あまり出てこなくなったけど、陣内さんも最近はまた出て来ていますよね。
たむけん : あんなことがあったからな~。あれがあるから、この世界は怖いねんやん。調子に乗ったらアカンっていうことやと思うわ。調子がいい時ほど、ちゃんと現実をみとかんと、絶対に落とし穴がある。実際に、そんな人らをいっぱいみてきたしさ。
橋本 : たむけんさん、大丈夫ですか(笑)。
たむけん : 俺?俺はいつもビビりながら…こんなん、ウソ、ウソって思いながらやっているから大丈夫(笑)。
橋本 : 焼き肉屋さんもすごい人気で、テレビでは儲かってるって言われてますけど、そういうことへのやっかみみたいなものは、ないんですか?
たむけん : あると思うよ。でもまぁ、店を経営するのってホンマに大変なことが多いからさ。周りが言うほどいいことばっかりじゃないしね。今の時代、お客さんも減っているし、そんな簡単に儲かる訳がない。そういう意味では、今になって思うと、そんなに広げんかったら良かったっていうか…。一店舗だけやっていた方が儲かっていたかもしらんなって思うけどね。広げることによっていろんな問題が出てくるし…その分、比例して儲かっているかといえばそうじゃないしさ。でももう、引かれへんから。働いてくれている従業人の人がいて、俺にはその責任があるから引かれへん。やっちゃったわ(笑)。
橋本 : お笑いをする自分と実業家として焼き肉屋をする自分は巧くバランスがとれているんですか?
たむけん : 俺の場合、実業家といっても、思いっきり芸人よりやからね。バランスがとれているのかどうか分からへんけど、少なくとも今、うちの店にお客さんが来てくださっているのって『芸人・たむら』がやっているからや、っていうのは分かっているから。だからこそ、この『芸人・たむら』っていうのは崩したらアカンって思っているけどね。もちろん、お店の経営については『芸人・たむら』ではやれんから、ちゃんといろんなことを考えて、ある意味、俺がどうなっても店は生きていけるようにしとかなアカンって思いはあるけどね。結局、昔は、芸能人の人とかが自分の名前を使って店を出したりしていたけど…今はそれで通用する時代じゃないから。美味しいものを出して、本気でやらな、すぐに潰れる。それはいつも頭にあるけどね。でもサッカー選手でも結局、そうやん。本気でやってないと、才能だけでは生き残られへん。そういう意味では俺らも、ハシピーらスポーツ選手も同じやと思うで。いつどうなるか分からん、っていう意味でもさ。
橋本 : 確かに僕にもいつ、どうなるか分からんっていう危機感は常にありますよ。僕はそもそも遅咲きやったというか…試合に出られない時代も長かったですしね。今、試合に出ている自分を大事に考えなアカンっていうのはいつも思ってる。『ガンバTV』にも、ずっと取り上げてもらえるように頑張らなアカンな、と(笑)。
たむけん : 取り上げる、取り上げる。でもホンマにもっと、面白いことをやりたいよなぁ。ガンバのみんなとなら出来る気がするしさ。まずはキャンプやな、やっぱり。『ガンバTV』キャンプ!
橋本 : そうですね。やりたいですね!というわけで、たむけんさん、そろそろ打ち合わせの時間ですよね。
たむけん : 3分前か…そろそろ行かなアカンな。ありがとうな、来てくれて。
橋本 : いやいや、こちらこそありがとうございました。次に会う時は天皇杯に優勝していると思うので、祝杯をあげましょう!
たむけん : 優勝してや!楽しみにしてるわ!

text by/misa takamura

たむらけんじ/プロフィール
1973年5月4日生まれ。大阪府阪南市出身。愛称、たむけん。吉本興業所属。大阪府立和泉高等学校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)に入学。11期生で同期には、陣内智則、ケンドーコバヤシ、中川家、ハリガネロックら。本名、田村憲司。芸人として活躍する傍ら、『炭火焼肉たむら』を経営する株式会社田村道場の代表取締役でもある。『おはよう朝日です(ABC)』『探偵ナイトスクープ(ABC)』『せやねん!(MBS)』『ちちんぷいぷい(MBS)』などレギュラー多数。昨年から始まったガンバ大阪の応援番組『ガンバTV 青と黒(MBS/毎週月曜日、深夜1:35~放送)』のメイン司会を務める。

vol.23 たむらけんじ(芸人)

たむけん : ハシピーは海外に行ってみたいとかって思ってるん?
橋本 : 行ってみたいですよ。

たむけん : 全く違う世界なんやろうね。
橋本 : 違うと思います。そもそも、やり方が違いますからね。っていうのも海外は基本、1対1なんですよね。1対1で勝ったか、負けたかを繰り返して成立するサッカーなんです。でも日本の場合、組織対組織みたいな…11人対11人ですからね。そこが根本的に違う。
たむけん : じゃあ、日本も1対1で勝負することを考えたら強くなるんじゃないの?
橋本 : いや、それをしようと思っても日本人の能力的に、1対1では勝てないんです。だから、日本人は組織でやることを学んで身につけよう、ってやっているんですけどね。
たむけん : J1、J2と、いろんなチームがあるけど、その中で海外的なサッカーをしているチームはあるの?
橋本 : ないと思います。ただ、オシムさんは…基本、マンツーマンだったんですけど、その中に巧いこと組み合わせていくトレーニングをやってチームを強くした。それが弱いチームを強くする近道だとは思いますけどね。他にも大分も…前のシャムスカ監督なんかは、1対1で勝てるポイントを作って、そこだけ絶対に潰すっていうようなサッカーでしたね。ただ、それだと失点はしないけど、得点はそんなに多くなかった。オシムさんは、そこに攻撃の部分を加えたサッカーだったから強かったけど。
たむけん : ただボッ~と見ているだけやったら、そういうのって分からへんけど、話を聞いていたらサッカーも奥が深いよなぁ。じゃあ、監督次第で、弱かったチームが急激に強くなることもあるっていうことか。
橋本 : あると思いますね。でもそれも、ちょっと悲しいですけどね。それって、選手に力がないのか、あるのか、微妙ですから。
たむけん : でも、戦術にちゃんと応じてプレーできる技術が選手にもあるからやれるんじゃないの?
橋本 : そうとも言えるけど、「この監督なら出来たのに、この監督ではできない」っていう選手もいますからね。それが監督に力がないのか、選手に力がないのかが微妙なところで…。でも本来、選手というのは、監督が代わっても、それに対応できるべきだと僕は思っていますけどね。たむけんさんも、「どんな仕事がきても断らない」って言ってたけど、基本、選手もそうあるべきじゃないかな、と。出来ないことを監督のせいにして、それを逃げ道にしちゃうと、自分で自分の成長を止めてしまうような気もするし。
たむけん : ハシピーは、基本「なんでもします」ってタイプでしょ?
橋本 : はい。

たむけん : 俺はそれは絶対に大事だと思うけどね。お笑いの世界でも絶対にそうやと思うからこそ、俺も基本的に仕事は断らないねんけどさ。ただ…もう絶対にしたくない仕事はあるけどね。『Qさま!』でやった高飛び込み。10mの高台から飛び込むねんけど…あれは本気の冷や汗がボタボタ落ちたから。
橋本 : 高所がダメなんですか?
たむけん : いや、そうでもないねんけど。スカイダイビングで一人で飛んだこともあるし。普通、お笑い芸人がそういうのをやる時って、インストラクターの先生とハーネスで固定して一緒に飛ぶ、タンデムスカイダイビングっていうのをすることが多いねんけど、俺は最初から一人で飛んでるからね。だから、仕事になったらやれるけど…でもあの高飛び込みの10メートルという高さは生々しい。近すぎるけど、遠くて高いっていうのが、かなり怖い。スカイダイビングまでいけば、足元も見えへんし、逆に思い切れるけど、高飛び込みって微妙に下も見えるし、余計に嫌なんよね。
橋本 : 生命の危険を感じたことはないですか?
たむけん : あるよ。実際、下手な落ち方したらどこを打つとか、誰々がケガしたとか、飛ぶ前にビビらされるしさ。そういう意味では、ホンマに怖いよ。
橋本 : やっている側の人と違って、テレビを見ている側の僕らは、収録されたやつを見るじゃないですか。だから急に「30分後」とか、間が省略されていたりして… そういう意味では、そこまで怖さが分からないですけどね。
たむけん : そう、そう(笑)。こっちは地獄やのに、その間はカットされてて最後だけ、みたいなことになってることもあるよね。しかも、何人か飛ぶ時は、一番目なら何分かかって飛んでもいいねんけど、3番になると、時間制限があったりするわけよ。飛ぶ自分も「おもしろおかしい時間にしなあかん」って考えたりするし。だからホンマやったら思い切り、ポンといきたいところを、少し時間をかけたりするねんけど、結局、それって自分の首を締めるというか。上で飛ぶのを待つ時間が長いほど怖くなってくるし、いろんなことを考え出すと、だんだん飛べなくなってくる。あれはホンマに地獄よ。
橋本 : 結局、何分くらいで飛んだんですか?
たむけん : 確か16分くらいかな…。
橋本 : めっちゃ早いじゃないですか!てっきり、一時間くらいかかったんかと思いましたよ。

たむけん : いや、ホンマのことを言うと、その時間内に飛んでもらえたらって言われてたんよ。俺が3番目やったから16分くらいがギリギリや、と。もちろん、俺がホンマに飛ばないと成立しないからヤラセではないねんけどさ。でもディレクターの方には「無理やったらいいです。飛べなければ、それはそれで面白いですから。ただ…僕はこんな感じが面白いとは思いますけどね~」って言われていたりもして…。そうなると余計に嫌なプレッシャーがかかるし、逆にその言葉にメラッときて、飛んだるねん!ってなったりもして…でも、時間が経つほど、怖さが増す、みたいな。あれだけはホンマに辛かったなぁ。
橋本 : 他にも怖い思いを結構してはるでしょ?
たむけん : してるね。奈良にある修験道の総本山、大峰山に行った時も、肩にたすきみたいな命綱をつけて、崖の上に立たされるんよ。たすきの先は人が持ってるだけやねんけどさ。その状態で崖っぷちで前にガンと出されて「お前はちゃんと親孝行をしてるか!」とか聞かれて、してへんって言うと、その状態で更にガンって前に出されるねん。下はもちろん、断崖絶壁やで!あの時は、普通に悲鳴が出たね。完全に下に落ちる、っていう感覚やから。俺ら芸人って、ある程度、大げさにリアクションすることもあるけど、あの時はホンマに心底、怖くて、普通に悲鳴が出たからね…悲鳴ってこういうことを言うんやな、ってマジで学んだもん(笑)。
橋本 : 最近はそういうのはあまり見ないですよね?
たむけん : 確かに、テレビの世界自体があんまり危険なことをやらせられないって方向にはいってるよね。そういう意味では、今の若手の子は可哀想やなって思う。そういうところで学ぶこともいっぱいあるのに、その経験の場がない訳やからさ。俺らが若手の時はホンマにひどかったからね。ヌカがいっぱいのバケツの中に、頭からボンッて投げられたり…窒息する可能性もあるのに、関係ナシやから(笑)。そういうことも昔はテレビでも平気でやっていたけど、最近はなくなったからなぁ。ある意味、俺らは幸せやったかも知らんけどね。

text by/misa takamura

たむらけんじ/プロフィール
1973年5月4日生まれ。大阪府阪南市出身。愛称、たむけん。吉本興業所属。大阪府立和泉高等学校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)に入学。11期生で同期には、陣内智則、ケンドーコバヤシ、中川家、ハリガネロックら。本名、田村憲司。芸人として活躍する傍ら、『炭火焼肉たむら』を経営する株式会社田村道場の代表取締役でもある。『おはよう朝日です(ABC)』『探偵ナイトスクープ(ABC)』『せやねん!(MBS)』『ちちんぷいぷい(MBS)』などレギュラー多数。昨年から始まったガンバ大阪の応援番組『ガンバTV 青と黒(MBS/毎週月曜日、深夜1:35~放送)』のメイン司会を務める。

vol.22 たむらけんじ(芸人)

たむけん : ハシピーは現役を引退したら、将来はどうするんやった?
橋本 : 僕は一応、学校の先生になりたいな、と。
たむけん : そんな元Jリーガーっておるん?
橋本 : 大学を出てプロになった選手は、結構、教員免許を持っているから、いるとは思いますよ。

たむけん : ハシピーくらい有名な…代表クラスの選手でも先生になった人いる?
橋本 : たぶんいると思います。
たむけん : だってそれやったら、もっと話題になってない?元Jリーガーの先生なんて注目されるやろう?大学が多いんかなぁ。
橋本 : いや、中学や高校の先生もいるはずですけどね。あと、学校の先生ではないけど、サッカー部のコーチだけの契約で行っている人もいますしね。
たむけん : ハシピーが先生になったら、めちゃめちゃ人気のある先生になるんちゃうん!
橋本 : でも僕が先生になる頃には、生徒は僕らのことはそんなに知らんというか…また次の世代の代表選手に目がいってるはずやから、そうでもないと思いますよ。カズさん(三浦知良)くらいのレベルになればまた話は別ですけどね。例えば、清水の伊東輝悦さんっているじゃないですか?テルさんは、J1リーグで歴代トップの出場数を数えるくらいの、素晴らしい選手なんですけど、今はテルさんのことをみんなが知っていても、数年後、例えば先生になったとして、 中学生や高校生の子どもが知っているかと言えば、知らないと思うんです。僕にも、そういう現象が起きるはず(笑)。
たむけん : そうなんかぁ。
橋本 : テルさんは、実績も凄いじゃないですか?日本代表にも入っているし、アトランタ五輪の時は、ブラジル戦でゴールを決めたりして…っていうことを僕らは知っているけど、今の20才くらいの選手に言ったところで分からないですからね。だって「アトランタの時の監督は誰だったか知ってる?」って今の若い選手に聞いたら、対外、知らないって言われるから。「西野監督やってんで」って言うと、「へえ!」みたいな(笑)。
たむけん : 確かに、バレーボールも今、人気やん?俺も結構、好きやねんけど。で、俺らの世代でバレーボールと言えば大林素子やねんな。俺は大林さんとも仲良くさせてもらっていて、一緒にバレーボール会場に行くこともあるねんけど、そうすると、すごい人気なんよ。でも一般の人に「バレーボールを見にいって面白かった」っていう話をした時に「大林さん知ってる?」って聞いても、知らんからね。あの大林素子を知らんって、どないや、と!
橋本 : そういうことですよ。僕はもちろん、大林さんは知っていますけどね。
たむけん : やろ?結局、今はプリンセス・メグ(栗原恵)とか、今はあまり出てないけどパワフル・カナ(大山加奈)とか…目がいくのはそこなんよね。高橋美由紀さんも、引退しはったけど、俺らからしたら「なんで分からんの?」っていう選手やのに、若い人らは知らんかったりするからね。
橋本 : だから、僕が先生になろうとする頃は、僕もそうなっていると思います。
たむけん : 選手をやめたら、すぐに先生になれるん?
橋本 : 僕は教職をもっていないから、とりあえず、まずは2年かけて教職をとらないといけないから、その後ですね。
たむけん : ガンバのコーチをするのは嫌なん?
橋本 : いや、いいんですけど、僕、一軒家に住みたいんです(笑)。
たむけん : はい?

橋本 : 例えばガンバのコーチになるとなれば、契約になるじゃないですか?イコール、ずっと同じチームにいられるとは限らない。今のガンバの西野朗監督は来年で9年目で、Jリーグでは最長の指揮になるんですけど、それでも9年ですからね。他の監督を見ていたら、だいたい、1~2年で終わりって感じだし。例えばすごくいいコーチになったとしても、外国人監督がきたら、コーチも自分で連れてくるから、そんなんおかまいなしに一掃されてクビになるし。じゃあ次はどこにいく?ってなった時に、近いチームならいいけど、遠いチームならまた引っ越しして…っていうことを考えたら、プロのコーチになると、家を買っている場合じゃないじゃないですか(笑)。
たむけん : 確かに、そうなるとホンマに好きじゃないと出来ひんな。
橋本 : ですよね。あるいは、一軒家に住むっていう夢を捨てればやっていける。
たむけん : 今でも稼いでるねんから、家を買えるやろ!
橋本 : いや、選手の立場も結局、同じで、ずっとガンバにいれるとは限らないですから。じゃあ、移籍しますってなった時に、どこに行くか分からないのに家を買ってる場合じゃないじゃない。そもそも、せっかく一軒家を建てたのに、2年しか住めないとかは絶対に嫌だし。マンションだったら話は別なんですけど、僕はとにかく一軒家に住みたいから。
たむけん : じゃあ、引退したら、とにかく、一軒家や、と。
橋本 : 一応、引退してしばらく経ってから、ここやなってなったところで建てたいですね。
たむけん : それは大阪に?
橋本 : 僕は大阪に…吹田に住みたいんですけどね。そこは家族会議で決めることになると思います。で、話を戻すと、一軒家を吹田に建てるには、学校の先生になるのがいいのかな、と。中学や高校の先生ではなく、サッカー部のコーチだけをやっている人もいるけど、それだと待遇はいいかも知れないけど、結局、プロの監督やコーチをするのと同じですから。結局、世の中、待遇がいい、イコール、リスクがあるっていうことなんでしょうね。って言いながら、頭のどこかでプロのコーチにチャレンジしてみたいなって思いも多少、あるんですけどね。
たむけん : 武田修宏さんもずっと言ってはるわ。監督やりたいって。だから俺は「無理ちゃいますか」って言ってるねんけど。あの人、めっちゃいい人やけど、なめられると思うから(笑)。
橋本 : 実績とか考えたら凄い人ですけどね。

たむけん : やろ?でも、テレビであんなキャラクターやから、誰もついてきいひんのちゃうか?と。ただ逆に思いっきり人柄だけでいい監督になるかもしれないけどね。ただ、武田さん、最近は、そのアホキャラでいくのが嫌らしく…前に一度『ガキの使いやあらへんで』でご一緒させてもらった時に、「質問したら武田さんがチンプンカンプンな答えを言う」っていうノリのはずが、ごっついまともに答えはって、成り立てへんかったことがある(笑)。あの時は、「そこで、賢くなってどないすんねん!」って相当、焦った(笑)。っていうか、そもそも武田さんは、いい人過ぎてアカンと思うわ。監督なんて憎まれるのが全然平気っていうタイプじゃないと出来ひんやろ。
橋本 : それは言えてますね。監督は冷酷な人でないと無理だと思う。
たむけん : やろ?だから俺は絶対に、出来ひんと思う。そもそも「みんな出してあげたい」って思ってしまうタイプやから。
橋本 : 確かに、たむけんさんは無理ですね。でも僕は多分、大丈夫(笑)。冷酷になれそう…ただ、一番いいポストは、ヘッドコーチかな。
たむけん : わかる、ナンバー2な!
橋本 : そう。進言だけはするんですよ。「あそこは絶対に変えた方がいい」とかって…でも決断するのは監督、っていうのがいい(笑)。
たむけん : 俺もお笑いの世界で絶対にトップになりたくないと思ってるもん。ナンバー2、ナンバー3がいちばん、居心地がいい。アカンくても責任をとらんでいいし、横でワイワイ言っとったらいいし、いろんなところに絡んでいけるし。だって、芯になったら、芯しか出来ひんようになるからね。
橋本 : 分かります、分かります。ガンバでいうと、ヤット(遠藤保仁)がそうです。あんだけ芯になってしまうと、ガンバカラーが強くなり過ぎて、国内の他のチームには、移籍しにくいですからね。海外なら出来るとは思うけど。

text by/misa takamura

たむらけんじ/プロフィール
1973年5月4日生まれ。大阪府阪南市出身。愛称、たむけん。吉本興業所属。大阪府立和泉高等学校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)に入学。11期生で同期には、陣内智則、ケンドーコバヤシ、中川家、ハリガネロックら。本名、田村憲司。芸人として活躍する傍ら、『炭火焼肉たむら』を経営する株式会社田村道場の代表取締役でもある。『おはよう朝日です(ABC)』『探偵ナイトスクープ(ABC)』『せやねん!(MBS)』『ちちんぷいぷい(MBS)』などレギュラー多数。昨年から始まったガンバ大阪の応援番組『ガンバTV 青と黒(MBS/毎週月曜日、深夜1:35~放送)』のメイン司会を務める。

vol.21 たむらけんじ(芸人)

たむけん : ハシピーは、遠藤くんと同じ年なんよな?
橋本 : そうです、そうです。あとバン(播戸竜二)と加地(亮)も。
たむけん : そやのに、なんで、会議室で飯を食べていた時、背中あわせで食べてたん?
橋本 : ハハハ(笑)。あれね。あれは特に意味はないです。みんな、ご飯の時は結構、個人プレーですからね。あそこで、敢えて集まろうっていうことはしないというか。
たむけん : 一人で飯を食うなんて、俺には考えられへん!
橋本 : でも、別に仲が悪いっていう感じでもなかったでしょ?

たむけん : 確かに、全く仲が悪い感じではなかった。なかったけど、でも俺には考えられへん。だって俺、散髪行くのにも、後輩を連れて行くもん!
橋本 : え?!散髪で?!
たむけん : そう。道中の車の中が寂しいから。
橋本 : (笑)。可愛いじゃないですか。まぁ、選手の中にもたまに連れ立って髪の毛を切りに行っている奴もいますけどね。でも僕は逆にそれが理解できない。
たむけん : 一人の時間が欲しいタイプ?
橋本 : 橋本;はい。それに、一緒に行って、先に切り終わった方は何をしてたらいいねん?って思うし。
たむけん : そんなん、なんぼでもやることあるやん!雑誌も読めるしさ。
橋本 : あ~考えられないですね。
たむけん : そうなんや…俺は基本的にワイワイするのが好きやからなぁ。でも、バンちゃんとか安田くんあたりは、みんなでワイワイするのが好きそうよね。
橋本 : あの二人は間違いなく、好きですね。僕も決して嫌いじゃないけど…でも、たまに、でいいかな。
たむけん : (笑)。
橋本 : 好きなんは好きなんですけど…。
たむけん : よね?だって、実際、一緒に飯も食いに行ったしな。俺、取材とかで知り合いになって「また呑みにいきましょう!」とかって話になって、電話番号を交換したのに、でも行かへんっていうのが一番嫌なんよね。社交辞令だけで終わるっていうか…いや、別に仕事は仕事やから呑みにいかなアカンことはないし、行かなくても全然、問題はないんよ。でも、電話番号を聞く限りは絶対に掛けてきてくれ、と思う。掛けて来ないなら聞かんとってくれ、と。だからハシピーとも、ちゃんと連絡を取り合う仲になれて嬉しいわ。ガンバの選手の中で、一緒に飯に行ったのは、ハシピーが最初やからね。
橋本 : 光栄です(笑)。あの時は、智さん(山口智)さんとか4~5人呼んで、みんなで行きましたよね。
たむけん : そうそう、楽しかったわ。にしても、俺、あの山口くんの雰囲気が好きやねんな~。
橋本 : そうなんですか!それは、取材の時の雰囲気?あるいは、ご飯に行った時の雰囲気ですか?
たむけん : ご飯に行った時の雰囲気も好きやし、取材の時の…サッカーのことをちゃんと話している感じも好きやね。あの人はなんか、人間的に好き。
橋本 : へ~すごいっ。
たむけん : 理由は分からんけど、もっと喋りたいなって思う。でも山口選手のことをみんなは怖いって言うやん?サッカーのことだけやと思うけど、俺にはそれが考えられへん。
橋本 : 普段はめっちゃ優しいんですけど、サッカーに関しては言うことをハッキリ言うタイプだから、怖いって思われるんかも。白黒ハッキリしているというか…。
たむけん : そこも好きなんよ。俺もどっちかというと白黒ハッキリしたいタイプやから。だからガンバTVで対談した時に、広報の小泉さんが俺と山口さんが話しているのを見て「あんなに話す山口選手をみたのは初めてです」って言われて、めっちゃ嬉しかったもん。普段はあまり話さないタイプなん?
橋本 : いや…初対面の人とは、確かにそんなにすぐに話すタイプではないと思いますけどね。ただ、たむけんさんの場合、初対面は食事の場だったと思うんですけど、初回から結構、話していましたよね?ああいう場だからかも知れないですけど。

たむけん : 俺、最初は山口くんのことを若手やと思っていたからね(笑)。見た目も若いしさ。後から、武田修宏さんと仕事をした時に、若手じゃないって教えてもらってんけど。
橋本 : 智さんがそんなに好きなら,今日はそこのところを深く切り込みますか!こういう時に話に出てくるタイプじゃないだけに、面白いし!
たむけん : いや、ハシピーのことも好きやねんで(笑)。でも山口くんのあの感じも好きやっていう話で。
橋本 : 分かってます、分かってます!僕も智さんは尊敬していますしね!
たむけん : 前も会った後に、すぐにメールをくれていたからね。「楽しかったです」って。
橋本 : さすが、智さんやわ…僕、そういうの、絶対に出来ないですから。結構、ルーズだし。
たむけん : ハシピーに、そういうイメージはないけどなぁ。だって結構、メールもちゃんとくれるやん?
橋本 : いや~ダメっすね。後から反省することがよくあります。
たむけん : でも気づくだけ、いいやん。気づかない奴もいっぱいおるねんから。
橋本 : でも、気づいているのに出来なかったら、かなり凹むんで、そうなると忘れようとします(笑)。
たむけん : 基本的にハシピーは、そういうのを出来るイメージがあるから、ちょっと出来ないだけで、すごい出来ひんように思われる可能性はあるかもね。
橋本 : 今日の対談も、たむけんさんから「前日に電話してな」って言われていたのに忘れていたし。
たむけん : 俺は、逆に「してな」ってハシピーに言ったんを忘れてたわ(笑)。
橋本 : それくらい鈍臭いですからね。ライターさんとは「何時からやった?」って連絡を取り合っていたのに、肝心の、たむけんさんと連絡を取り忘れるという…最悪でしょ(笑)。智さんはそのへんはぬかりないタイプのはず。
たむけん : そうやって出来過ぎるから、若手の選手が逆に近寄り難くなるんかもね。
橋本 : でも家族が実家に帰っている時とかは、若手を食事に連れて行ったりもしていますけどね。
たむけん : そういう時に、コミュニケーションを図るのも忘れへんのか…やっぱり好きやな(笑)。
橋本 : はい、そういう意味ではただ怖いだけじゃなくて、ちゃんといろんなことを考えていますよ。ただ、呑みに行ったりすることは、基本的に少ない方だとは思いますけど。
たむけん : もともと、あまり呑まないんちゃうん?
橋本 : いや、呑み出したら…っていうか、呑める時は呑むと思いますよ。この間もたむけんさんが勧めていたでしょ?そしたら、呑むんです。でも周りが智さんに対して、一歩引いている選手ばっかりやったら、敢えて智さんに「呑めよ」とは言わないじゃないですか?そしたら智さんも、マイペースで進むというか…抑えたペースで呑むんですけど、周りがあおり出したら結構、呑むはずです(笑)。
たむけん : じゃあ、今度オフに入ったら、山口くんをあおる会をしようよ。
橋本 : はい、是非!みんな呼んで…バンも…セレッソに決まったら、同じ大阪にいますからね。
たむけん : バンちゃんがセレッソに行ったら面白いやろうなぁ!
橋本 : ダービーも盛り上がると思いますよ。
たむけん : 俺、まだ大阪ダービーを見たことがないんよね。

橋本 : 大阪ダービーは結構、盛り上がります。セレッソはここ3年、J2リーグだったんですけど、同じJ1でやっていた時は…特に最近はかなり盛り上がっていましたからね。スタジアムもだいたい、満員になるし。セレッソのホーム、長居での試合は代表戦と同じくらい…42000人くらい入りましたからね。あの時は「セレッソファンってこんなにおるんや!」ってビックリした。
たむけん : 長居で試合をすると、やっぱりピンクが多いの?
橋本 : 長居でやるとやっぱりピンクが多いです。青も4分の1くらいは…多分、1万人くらいはいるはずやけど。僕的には、ガンバとセレッソのファンは半々くらいかな、と思っていただけに、ビックリしましたけどね。
たむけん : 万博だとどうなん?
橋本 : 万博は2万しか入らないですけど、1万8000人くらいがガンバで残りがセレッソみたいな感じですかね。
たむけん : そうか…って考えても、やっぱり早く新スタジアムが出来たらいいのにね。
橋本 : そう思います。
たむけん : 俺は、神戸のホムスタみたいなのを作って欲しい。サッカー専用のスタジアム。あそこの雰囲気、好きやわ。
橋本 : 一応専用スタジアムでは考えているみたいですけどね。確かにホムスタはちょうどいいですよね。あそこは、W杯の時だけ座席を増やしたんですよ。ああいう考えもアリだと思う。W杯では5万人入っても、J1リーグの試合に毎試合、5万人を求めるのは厳しいと思いますから。
たむけん : 屋根付きやから、声が響くのもいいよね。まぁ、でもいろんなことをクリアしないとアカンのやろうし、ボチボチいかな、しゃあないわな。
橋本 : 確かにそうですね。早く出来たら僕らも嬉しいですけどね。

text by/misa takamura

たむらけんじ/プロフィール
1973年5月4日生まれ。大阪府阪南市出身。愛称、たむけん。吉本興業所属。大阪府立和泉高等学校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)に入学。11期生で同期には、陣内智則、ケンドーコバヤシ、中川家、ハリガネロックら。本名、田村憲司。芸人として活躍する傍ら、『炭火焼肉たむら』を経営する株式会社田村道場の代表取締役でもある。『おはよう朝日です(ABC)』『探偵ナイトスクープ(ABC)』『せやねん!(MBS)』『ちちんぷいぷい(MBS)』などレギュラー多数。昨年から始まったガンバ大阪の応援番組『ガンバTV 青と黒(MBS/毎週月曜日、深夜1:35~放送)』のメイン司会を務める。

vol.20 たむらけんじ(芸人)

たむけん :基本的なことやけど、週に何回練習してるん?
橋本 : 週6回が普通ですね。

たむけん :休みは1日しかないんか…大変やなぁ。そやけど、俺らからしたらメッチャいい…っていうのも変やけど、時間が読めるのはうらやましいわ。練習にしても、試合にしても「だいたい、この時間に終わるな」っていうのが分かるやん?それに比べて、俺らはホンマに時間が読めへんから。昨日も朝の8時半から『魔法のレストラン』っていう番組のロケをやって、そのあと正月の番宣番組をやって…終わったら23時半やからね。予定ではもっと早く終わるはずやったから、その後に予定を入れようとしててんけど、なんか嫌な予感がしてキャンセルしていたから良かったけどさ。とにかく時間が読めへんのよね。
橋本 : で、今日も朝からですか?
たむけん :そう、今日は朝からラジオ番組。
橋本 : 大変ですね!
たむけん :でも基本、俺は『寝たら大丈夫』っていうタイプやから。
橋本 : テレビの世界のことはあまり知らないんですけど、例えば収録があるとして、ある程度の時間っていうのは一応、教えてもらえるんですか?
たむけん :うん、教えてくれるよ。くれるけど、あってないようなもんやからね。何時に終わるって言われていても、それが2時間遅れになるなんてことは平気であるし。
橋本 : じゃあ、1日の間に仕事を重ねて入れるのは難しいですね。
たむけん :うん、特にロケとかやったら重ねにくいよね。実際、『探偵ナイトスクープ』とかのロケの時は、丸一日、あけてあるし。
橋本 : そうかぁ…大変ですね。
たむけん :いや、大変かどうかで言えば、スポーツ選手だって大変やと思うけどね。だって、ちょっと我慢しなあかんこととかもあるやん?食事にしても、生活にしても。俺らには、それがないもん。何食ってもいいし、何呑んでもいいし…。
橋本 : まあ、そこはそうですね(笑)。
たむけん :だって試合の直前まで、呑みに行くなんて、あり得へんやろ?
橋本 : まず、ないです。
たむけん :でしょ?俺、あるもん。
橋本 : ロケの前日とかでも行きます?
たむけん :行くね。アカンと分かっていても行くんよな?。俺の場合、金曜日の朝が「おはよう朝日」で、5時半前起きで家を出ないといけなかったりするのに、木曜日の夜でも平気で呑んでしまう。
橋本 : でもまあ、それでも出来るってことですよね?
たむけん :そう、出来る(笑)。
橋本 : 逆にそれが良かったりするんですか?テンションがあがるとか…。
たむけん :いや、逆に下がるわ(笑)。やっぱり、寝たいもん。この間の金曜日なんて、朝5時半に起きて、仕事終わったのが夜中の12時やったから、結構、ヤバかった。
橋本 : 休みは全然ないんですか?

たむけん :いや、あるけど…今から年末まではもうないなぁ。でも、俺、今年は芸人になって初めて、31日がオフやねん。16年目にして、初めて。それがメッチャ嬉しい。っていうか、世間的にはテレビには出てるんよ。ただ、31日に放送される分の収録は終わっているから、他の生放送には当然、出られないし…だから大晦日はテレビには出てるけど、自分は休んでる、みたいな。それが最高。カウントダウンって行ったことがないから、今、行ってみようかなって考えてるところやねんけど…ハシピーとかカウントダウンに行ったりするん?今年の年末はどうすんの?
橋本 : 『試合前日』ということになっているはずなんで、間違いなくカウントダウンには行けません(笑)。
たむけん :あ、そうやった、そうやった!29日の準決勝・仙台戦に勝てば、元日は決勝やから、31日はそれどころじゃないわな。っていうか、間違いなく、仙台には勝てるやろ?
橋本 : 周りからは、そういう声がすごく多いけど、それが非常に怖いですね。ただ、みんながそれをちゃんと感じて戦えたら、大丈夫だとは思います。ただ…負けたら暇になるから遊んでくださいって、今、言うべきではないな(笑)。
たむけん :負けたらアカン。アカンけど、でも負けたら負けたで、引きずっていてもしゃあないしな。
橋本 : 確かにね。嫁は28日に実家に帰る予定をしていて…っていうのも、僕は28日から東京入りして、そのまま元日まで東京なんで、子どもと二人きりではちょっとまだ大変やから実家に帰るんです。
たむけん :じゃあ、もし負けたら一緒に帰れてちょうどいいな…ってアホか!アカン、アカン!絶対に勝って欲しいもん。
橋本 : 僕ももちろん、勝ちたいし、全部勝つ予定で、すべての予定を立てているから、負けるのは嫌ですよ。暇になってしまうし(笑)。でも、正直、すっごいビビってますけどね。
たむけん :確かに勝って当たり前っていうのが一番怖いからな。向こうの山はどことどこが対戦するん?
橋本 : 名古屋と清水です。僕としては名古屋が勝ち上がってくれればいいなと思っているんですけど。ここ最近清水に勝っていなくて。11月の清水戦(J1リーグ第 32節)は勝ったんで、チームとしては嫌な流れを止められたんですけど、僕はその試合にケガをして出ていなかったですから。まだ自分の中では嫌な流れが止まった感じがしていないだけに、出来れば、清水より名古屋の方がやりやすいかな、って思っているんです。
たむけん :そうや。ケガしてたんよな。
橋本 : はい。ガンバTVに出してもらった時に「ケガをせず、体調さえ整えていたら優勝できる」って言っていた自分が、ケガしてしまいましたからね。友だちからもかなり突っ込みメールがきました。
たむけん :そうやん、そう言ってたのに、な!ケガをする時って、その原因って自分で分かったりするん?
橋本 : 今回の肉離れは何となく分かりましたね。もともと、痛めた箇所にハリを感じていて。2?3週間くらいずっと張っていて、何となく調子も悪いから、いろいろと診てはもらっていたんですけど…っていう流れでブチッときましたから。ただ、僕の場合はそんなにひどくなかったから良かったんですけどね。3週間で確実に復帰できたので。

たむけん :そうよな。こんなん言っていいか分からんけど、ケガをしてすぐの時は「もう今年は無理なんで、来年、頑張ります」って言ってたよな。そういう意味では天皇杯に間に合って、良かったやんか。
橋本 : 本当に。実際、たむけんさんと話した時は、ホンマに今年は無理かもな、っていう話でしたからね。っていうのも肉離れをしたのが初めてだったから。しかも、僕が痛めた箇所が一番、再発をしやすいらしくて。もう一回やると来年にも響くからっていうことで慎重になっていたんですけど、結果的に、順調に回復できたので、それは良かったな、と。
たむけん :ケガって怖いよね。ケガをした瞬間もそうやけど、その後、なかなか本来の自分の姿に戻れなかったりすることもあるからね。
橋本 : それは今、ちょうど感じている最中ですね。まだダッシュが怖いというか…。だから、全力で走っているつもりでも、どこか自分の中で制限している感じがあって…それがなくなればいい感じにはなると思うんですけどね。でも考えようによっては、痛めたのが12月で良かったなって思うんです。これがもし1月だったら、シーズンが始まってからもずっと引っ張ることになりますから。でも12月に痛めて、しかもチームが勝っていてくれたので天皇杯にも間に合って、1月もしっかり休めますから。そういう意味ではいい時期にやったと思うようにはしています。チームが優勝争いをしている最中に離脱してしまったこと自体は当然、悔しかったんですけど。
たむけん :12月12日の天皇杯の準々決勝・鹿島戦に出た時は「ああ、戻ってこれて良かったな?」って思いながら、観てたわ。
橋本 : 最初は、あの試合に戻れるかどうかも際どくて。あの試合を目標には置くけど無理かもしれない、っていう感じだったんですけどね。ただ、しっかりそこに戻れて嬉しかったし、そこまで勝ってくれていたチームにも感謝しています。もし負けてしまっていたら、僕のシーズンも試合をしないまま終わってしまうところだったから。

text by/misa takamura

たむらけんじ/プロフィール
1973年5月4日生まれ。大阪府阪南市出身。愛称、たむけん。吉本興業所属。大阪府立和泉高等学校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)に入学。11期生で同期には、陣内智則、ケンドーコバヤシ、中川家、ハリガネロックら。本名、田村憲司。芸人として活躍する傍ら、『炭火焼肉たむら』を経営する株式会社田村道場の代表取締役でもある。『おはよう朝日です(ABC)』『探偵ナイトスクープ(ABC)』『せやねん!(MBS)』『ちちんぷいぷい(MBS)』などレギュラー多数。昨年から始まったガンバ大阪の応援番組『ガンバTV 青と黒(MBS/毎週月曜日、深夜1:35~放送)』のメイン司会を務める。