LIVE REPORT


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取材&文=吉川尚宏 撮影=田浦薫 2006年8月16日 ZEPP仙台

今年はZEPP仙台で2days、そして大阪は10周年を記念してZEPP大阪と、スペシャルバージョンの泉大津フェニックスでは20000人を動員して行われたスピッツの夏のロックイベント「ロックロックこんにちは!」。このところ夏フェスの定着と並行に、ミスター・チルドレンと小林武史のap bank fesや、アジアン・カンフー・ジェネレーションのNANO-MUGEN-FES、くるりの百鬼夜行、そしてACIDMANのCinema、さらに今年はサザンオールスターズのTHE夢人島Fes.2006などなど、一連のフェスとは少し違って、それぞれに独自のカラーやコンセプトを持ち、アーティスト自身が企画・主宰して行われるイベントやツアーが増えているが、近年のそのスタイルのパイオニアともいえるのがこのスピッツの「ロックロックこんにちは!」(まあ、スピッツのメンバーはそこまで深く考えずに、自分たちの仲のいいバンドや興味あるアーティストを招いて毎回楽しんでやってきただけだと思うのですが・笑)。ちなみに、今回7年目となる仙台公演は2日目(8月17日)がいつもの「ロックロックこんにちは!」とは少し違って、スピッツと奥田民生との対バンスタイルで敢行(ゲストにPUFFYが出演)。そしてスピッツの崎ちゃんにウルフルズのサンコンJr.とスクービー・ドゥーのオカモト“MOBY”タクヤで結成されたドラムユニット「嵐を呼ぶ男共’06」も出演したZEPP大阪と、ミスター・チルドレン、レミオロメン、KREVA、奥田民生、真心ブラザーズに、ジェイク・シマブクロ、そして吉井和哉など、超豪華メンツで行われた泉大津フェニックスは、大阪が10周年記念ということで特設されたモバイルサイトにアフタリポートを集約。なので、今回は仙台公演の初日(8月16日)のステージを、なんとPakila独占(!)でお届けしたいと思います! なお、各公演の感想など、Pakilaユーザーのみなんさからの書き込みは、スピッツサークルの【感想大募集】トピックスを要チェック!


 僕自身、ZEPP大阪とZEPP東京に慣れっこになっているせいか、“ZEPP”と聞くと少し都心から離れたところにあるというイメージが強いんだけれど、初めて訪れたZEPP仙台は、なんと仙台駅の目の前! それだけでうれしい気持ちになりながら(ヘンですかね?笑)会場に入るとドリンクコーナーでは、浴衣姿のスタッフもいて、イベント気分をさらに盛り上げる演出。2階席に上がってフロアを見下ろすと、早くもギッシリ超満員の場内。この日はラストで出演したスピッツのマサムネがMCで“ハイトーンの集いですね”と言ったように、高音の伸びやシャウトが気持ちいいハイトーンボイスを聴かせるアーティストが見事に集結。まずはPakilaの公式サークルでもお馴染み、音速ラインからスタートした。
 SEが流れる中でセットに付き、ギターの音がこぼれ始める。それは、まるで杜の都・仙台の色鮮やかな緑と、柔らかい風に、夏の陽炎がシンクロするような幻想的なギターサウンド。そこに緩やかな8ビートが、やがて徐々に加速を始めてブレイクするとともに“こんばんは! 音速ラインです”とご挨拶。そしてカウントにあわせ「our song」からスタートした。誰もが口ずさめるシンプルなメロディと8ビートに心地よく身体を揺らし始めるファン。と思っていたら、その心地よさを自らかき消すようにニューアルバム『100景』の中でもハードロックさながらの破壊的な勢いを放つグルーヴが強烈な「コトノハ」を披露。演奏後のファンのどよめきにも近い歓声を飲み込んで、シングル「みずいろの町」へ。そして最初のMC、と思っていたらファンから“大久保君、お誕生日おめでとー!”の声で拍手が沸き起こる。実はこの日=8月16日は大久保(b)の誕生日。同じステージでvo&gの藤井も“お誕生日おめでとう”と祝福。しばらくそれをネタに何度も“お誕生日おめでとう”を繰り返して笑いを誘うシーンも(笑)。そして “激しい音の中に切ないメロディ=音速ライン”の中でも、とりわけメロディの美しさを強く打ち出したシングルの「ナツメ」、そして曲が進むにつれ、グルーヴが心地よくフライングしていく「上昇気流」へ。昨年末にドラムが体調の理由で脱退し、新たに加わったサポートメンバーがロックなドラムを叩く影響もあり、このところの音速ラインはロック色の強いライブを披露しているが、この日のステージを観ていると、強さに加えて、さらにワイドな奥行きを感じさせる音の厚みと深さが印象的だった。そしてここでサプライズ。5月のツアーの大阪と東京公演では即興で曲を作るという演出があったのだが、今回は「特別にロックロックこんにちは!の歌をやります。ちょっとロックですよ、これ、ロックな音速ライン(笑)」と藤井。8ビートに、ディスト−ションを効かせたワンコードによるギターストロークで、♪ロックロックでこんにちは〜♪と歌い、ハモリが入り、ベースが乗り、ドラムが加わり、同じフレーズを8回繰り返すという、わずか16小節で20秒程度の「ロックロックこんにちは!」の歌。これがなかなかカッコよく疾走して、最後にギターをジャーンと鳴らして“サンキュー”のセリフをバシッとキメたロックンローラー藤井敬之と大久保剛!(笑) 大きな歓声と拍手を浴びながら、ラストは「逢瀬川」に「逢いたい」のポップなメロディのシングル2連打で、次のステージにバトンタッチ!
 続いて2番手はPERIDOTS=高橋考樹のソロユニット。5月21日に5曲入りのミニアルバム『PERIDOTS』でデビュー。ジョニ・ミッチェルやペイブメントにビーチボーイズなどをフェイバリットに持つ彼は、インディ−ズ時代に作品のリリースがなく、僕自身もこのイベントで初めて彼のライブを目にすることに。この日はギター2人に、ベース、ドラム、キーボードが2人、そして本人の7人編成で登場。1曲目はピアノをメインに未発表曲「歌は常に雄弁である」を歌い上げる。実はその後、3曲目までが未発表曲で、どこまでファンをひきつけられるのだろうと注目をしていたのだが、まず、彼のボーカルの存在感とその吸引力に驚かされた。伸びやかなハイトーンボイスで、ファルセットからビブラートまで、そのすべてが美しいのだが、同時に不思議なシリアス感とでもいうか、人肌のような優しい温もりと荒涼としたクールさが同居しているような。あるいは人の心の表と裏が同時に描かれているような。そんな不思議な感覚に包まれ、聴き続けるうちに妙に気持ちがドキドキするような強い衝動を覚えた。アコースティックギターとピアノの音をバランスよくブレンドしながら、UKロック、アイリッシュトラッドな空気も感じる清涼感と、ノスタルジックなムードが心地よいサウンド。そして美しい刺を隠し持つようなハイトーンボイス……。オレンジのライトに包まれながら、ラストに披露した「ライフワーク」(アルバムのラストにも収録)は、8分の6拍子のゆったりとしたリズムに、ボーカルを伸びやかに操りつつ、“僕らに拍手を/みんなにも拍手を”という言葉が強く耳に残り、彼の音楽に対する愛情と強い願いが伝わってきた。歌詞もメロディもシンプルだが、その個性的なボーカルとサウンド全体が、ドラマッティックな印象で、終演後はまるで映画を観終えた時のような、さわやかな感動を覚えたのだ。
 続いてスガシカオがギターの弾き語りで登場。まずは誰もが知っているバラードの「夜空ノムコウ」からスタート。そして一転してアタックの強いファンク&ソリッドなギタープレイとハスキーなボーカルで「19才」をエネルギッシュに歌い上げる。その圧倒的な勢いの切れ味の鋭いギターと歌に、大きな歓声と拍手を浴びながら最初のMC。「さもエンディングのような盛り上がりになってしまいましたが(場内笑い&拍手)、ちなみに今のがピークです(えー!とファン)、無理だよ!そんなのー!(場内笑い)これ以上の盛り上がりは他のバンドに期待してくれよ!(笑)」と言って軽くため息をついて再び場内に笑いが(笑)。そして「じゃあ、ニューアルバムから1曲やります」と9月6日発売のアルバム『PARADE』から「真夏の夜のユメ」を披露。センブンスコードのスローなストロークによる美しくも物憂げなムードが心に染み入るバラードだ。「今回のニューアルバムはちょっと真正面からラブソングを書いてみようかなと思いまして(場内歓声&拍手)。次の曲は「7月7日」という曲で、初めてやるのでうまくいかないかもしれませんが(笑)、誰かを好きになると、好きな分と同じだけ、妙な不安が押し寄せてくるというのがありまして。そういう方も多いんじゃないかなと思いつつ、歌に出来たらいいなと思って作りました」というMCでアルバムに収録の「7月7日」を披露。スローなアルペジオとハイトーンなメロディでしっとりと聴かせつつ、「こんな曲をやっておいて言うのもなんですが、今回のアルバムはとても明るいアルバムです(場内爆笑)。この曲が暗いだけなんで(笑)」と自らフォロー?(笑)。そして再びムードを変えてファンクなカッティングでシングル「アシンメトリー」。さらに「本当はここで終わろうかなと思っていたんだけど(えー!とファン)温かいお客さんたちなんで、もう1曲やろうかな(場内歓声&拍手)。今回、スピッツさんとはハチクロつながりということもありまして(場内拍手)。新しい目の曲ばかりやったので、アルバム『Clover』の中から聴いてください」と言って、予定外の1曲「黄金の月」を披露。センチなアルペジオとともに、ソウルフルに歌い上げ、大きな拍手に包まれてステージを後にした。

 そして大阪が生んだ良質音楽集団=bonobosが登場。まずは彼らの存在を強くアピールした昨年5月のシングル「THANK YOU FOR THE MUSIC」からスタート。ダブやレゲエといった言葉で語られることの多い彼らだけれど、実はシンプルでキュンと胸をくすぐるメロデイが、とても心地よいロックバンド。この「THANK YOU FOR THE MUSIC」は、音楽に対する彼らの愛情を曲の中にたっぷり注ぎつつ、心地よいビートとキャッチーなメロディ、そしてボーカル蔡(さい)君のハイトーンな歌声がシンプルに生かされたナイスなナンバー。続いて浮遊感タップリに電子音が流れ、身体の中に滑り込むようにコードがスムーズに展開していくギターのカッティングが心地よい「運命の人」(スピッツの曲じゃないですよ、bonobosのオリジナルです!)。軽快なグルーヴのサウンドが場内を包み込み、おそらく初めてbonobosのライブを体感する人も多いと思われるこの日のファンを、心地よくbonobosの世界へと導いていく。それはまるでサビの歌詞=“見えない力が舞い降りてくる”感覚そのもの。メンバーはもちろん、ファンも笑顔を見せながら気持ちよさそうに身体を揺らしていた。そしてパーカッシブなリズムで、夕暮れ時から夜の訪れを思わせるシックで浮遊感のあるグルーヴが印象的な「Beautiful」。さらに簡単なメンバー紹介を経て、11月1日発売のニューシングル「Standing There〜いま、そこに行くよ〜」を披露。これがとてもメロディの覚えやすい、愛らしくて心温まるラブソング! ハイトーンボイスがグッと胸に響いて、ジーンと心が震え出すナンバー、要注目です!(Pakila Musicでインタビューを掲載予定!) そしてラストはラテンフレイバーなリズムにファンク&ソウルなサウンドとメロディが軽快な「光のブルース」で終演。歌の素晴らしさと同時に、音楽の気持ちよさを身体で感じたファンの、感謝の気持ちを込めたような大きな拍手がとても印象的だった。
 そしていよいよスピッツの登場! まずはマサムネにスポットが当たり、強烈な歓声が沸き起こる中、アコースティックギターでいきなりサビのフレーズから歌い始める。1曲目は「スターゲイザー」。徐々に伸びていくマサムネのボーカルに、あらためてその声の美しさと、聴き手の身体の隅々を震わせながら包み込んでいく心地よさを感じて、ファンはあっという間にスピッツのポップサウンドに気持ちよく身体を預けていく。続くアッパーな「8823」では、早くもベースの田村が強烈なジャンプを披露してステージ上を激しく動き回るシーンも。そしてマサムネがエレキギターを抱えたまま、いつもより少しロック色の強いアレンジで「青い車」へ。サビで場内のファンが両手を左右に大きく揺らすシーンを上から眺めていると、ふとステージ両サイド上の2階のスペースで、bonobosのメンバーが落っこちそうな勢いで思いっきり手を振って踊っている(笑)。ファンもその姿に気が付いて、より一層盛り上がる。立場なんて関係なく、みんながスピッツの音楽を心から楽しんでいる。そして最初のマサムネのMC。「こんばんは、スピッツです(場内歓声&拍手)。ロックロック!(こんにちはー!) ロックロック!(こんにちはー!)アッコに(おまかせー!) ハハハ(笑)。一回やってみたかったんだ(笑)(場内笑い&拍手) 。でもマジでね、アコースティックで、アッコにおまかせというのをやろうかなんて話もあったんだけど(場内笑い)。あのー、仙台はおかげさまで今回でロックロック7回目でございます(場内拍手)。すごいですね。しかも今日は音速ラインからずっとハイトーンボーカルの人が続いて。でもオレの中でロックロックは、今日みたいな感じなのかなと思ったり(場内歓声) ハイトーンの集い(笑)。えー、では、スピッツの世界を楽しんでくれー(場内歓声&拍手)」そしてクージーの鮮やかなキーボードの音が切れ込んでニューシングルの「魔法のコトバ」、さらにここで「チェリー」を披露して場内大合唱を巻き起こした後、マイナーコードのギターストロークからファンク/R&B色の強いサウンドが鳴り、初めて耳にするアレンジに?マークを浮かべて一瞬聴き入るオーディエンス。そこに聴いた事のあるフレーズと歌詞が滑り込んできて、驚きの声が沸き上がる。なんと宇多田ヒカルの「Automatic」のカバーを初披露したのだ! そして懐かしい2ndアルバム『名前をつけてやる』からフォークソングタッチの「恋のうた」を。そして2度目のマサムネのMC。「はじめましての方もいらっしゃると思いますが、意外と見た目は、しょぼいでしょ?(場内笑い・カッコイイー!の声が)。 仙台はね、この前、フルキャストスタジアムまで、みちのく一人旅で思いついて行ってみたら(場内歓声)、雨で野球が中止で(場内笑い) 悔しいから、フルキャストの前まで行って、携帯で写真撮ったりして(場内笑い)。今日はイーグルス打線が爆発で我らがソフトバンクはたぶん負けたんじゃないかなと(笑)。では、もう少しだけスピッツの世界をお楽しみください」。そしてCMソングでもお馴染みの「みそか」に、スピッツ流のパンクスピリッツが滲み出た高速ポップな「メモリーズ・カスタム」、さらにこのところのライブでは欠かせないエネルギッシュなナンバーの「俺のすべて」では、お馴染みマサムネがタンバリンを手にステージを右へ左へと歩いてファンを煽っていく。そしてアンコールでは田村がファンに何度も水をかけるシーンが。「ロックロックは、こうやってこれからもずっと続けて行こうと思いますので、どうぞご贔屓に(笑)(場内拍手)」とマサムネ。最後の曲は「けもの道」。マサムネの心を射抜く愛の言葉とポップなメロディだけではなく、実はプログレッシブで野性味に溢れたタフなサウンドも持ち味のスピッツが、この「けもの道」で力強いロックサウンド聴かせて、仙台の初日が終了した。どのアーティストも最高にホットなステージを披露してくれたこの日のライブ。これからも変わらずに「ロックロックこんにちは!」で、素晴らしい音楽と出会えることを期待しています!

【SETLIST】
音速ライン
1.our song/2.コトノハ/3.みずいろの町/4.ナツメ/5.上昇気流/6.逢瀬川/7.逢いたい
PERIDOTS
1.歌は常に雄弁である/2.ケーブル/3.愛を唄う/4.労働/5.オールライト/6.ライフワーク
スガシカオ
1.夜空ノムコウ/2.19才/3.真夏の夜のユメ/4.7月7日/5.アシンメトリー/6.黄金の月
bonobos
1. THANK YOU FOR THE MUSIC/2.運命の人/3. Beautiful/4.Standing There〜いま、そこに行くよ〜ナツメ/5.光のブルース スピッツ
1.スターゲイザー/2.8823/3.青い車/4.魔法のコトバ/5.チェリー/6.Automatic(カバー)/7.恋のうた/8.みそか/9.メモリーズ・カスタム/10.俺のすべて/En.けもの道


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