橋本英郎公式サイト「絆」
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vol.35 中川聴乃(バスケットボール選手)

橋本:というわけで、ここからはバスケット界の話を聞かせてもらおうかな。いま、トップリーグは8チームだよね?
中川:トップリーグであるWリーグが8チームで、あと、サッカーでいうJ2リーグにあたるW1リーグが5チームです。入れ替え戦も行われていて、Wリーグの最下位と、W1リーグの1位が入れ替え戦をします。Wリーグについては上位4チームによるプレーオフもありますよ。
橋本:シャンソンは近年、リーグ優勝はしてないよね?JOMOが強いんだっけ?
中川:そうですね。今はJOMOではなく…親会社のジャパンエナジーが新日本石油と合併した関係でチーム名が変わり『JXサンフラワーズ』と言うんですが、相変わらずそこがダントツで強い。シャンソンも以前は強かったんですけど、優勝は05年を最後に一度もしていません。つまり、私がシャンソンに入部した06年から一度も優勝していないということになる。プレーオフにあがって2位までいったことはあるんですけど、結果的に優勝はJOMOにもっていかれてしまった。最近はトヨタ自動車アンテロープスも結構強いけど、選手層の厚さを考えてもやっぱりJXサンフラワーズが一番強いと思います。
橋本:基本的に実業団という位置づけになると思うんだけど、会社のサポートはどこもしっかりしている感じ?

中川:バスケットをする環境ということではシャンソンは恵まれていますね。会社にもしっかりサポートしていただいていて、バスケットだけに専念できる環境を整えてもらっていますしね。実際、私たちはバスケットをすることを会社の宣伝活動の一貫として認めてもらっているから普段は全く仕事はしていなくて、プロと同じようにバスケットだけをさせてもらっているけど、Wリーグに所属する全てのチームがそういう訳ではないと思います。それに、うちは常駐のトレーナーやチームドクターがいますけど、そうじゃないチームもありますしね。
橋本:1チーム、保有選手はどのくらいいるの?
中川:14~15人です。サッカーは?
橋本:30人前後かな。そう考えるとバスケットはえらい少なく感じるけど、…サッカーはスタメンが11人で、その約3倍くらい保有選手がいると考えたら、5人でプレーするバスケットがその3倍の15~16人というのは妥当か。チーム内で紅白戦をするにしても最低でも倍は必要だし、ケガで離脱する選手がいたり…ってことを考えても、もう1チーム分余らせるくらいの人数はいる…よね?
中川:そうですね。ただバスケットの場合は、メンバー交代に制限がないので、監督が出そうと思えば所属選手全員が試合に出ることはできます。
橋本:フットサルのような感覚か。じゃあサッカーファンの人も、フットサルをみるような感覚で、バスケットを観に行ったら面白いかも。
中川:ぜひ、来てほしいですね。バスケットを知らない人にも見に来てもらって楽しさを味わってもらえたら嬉しいから。
橋本:いま、1試合あたりどのくらい集客があるの?
中川:場所とチームの人気によっても全然違います。Jリーグもそうかも知れないけど、強いチームはやっぱりたくさん入りますね。でもシャンソンは…毎試合500人に満たないくらいかなぁ。静岡で試合がある時はほぼ満員だったりもするけど、体育館だから満員といってもそんなに多くない(笑)。面白いカードの試合だったりすると、立ち見が出るくらい観に来てもらえることもあるんですけどね。
橋本:ファン層は女性と男性ではどちらが多いの?
中川:チームにもよりますが、うちは男性が多いですね。ただJOMOは逆に女の子のファンが多い。所属選手の雰囲気にもよるのかなぁ。例えばJOMOは男っぽくて格好いい人が多いから女性ファンが多いとか、うちはそんなに背も大きくない選手が多く…どちらかと言えば女性っぽいタイプが多いから男性ファンが多いのかもしれない。実際、身長的にも私で一番大きいくらいですから。
橋本:よく選手紹介のプロフィールに身長や体重が載ってるやん?バスケットの選手って、少しでも大きくみせたいからと、大きめに書いたりするものなの?あるいは、逆に小さくみせたかったりするのかな…。
中川:どうだろう。でも、基本的に、小さくみせてる人が多いんじゃないかな。私はそのまま書いているのに180センチもあるようには見えないらしく、たまに「大き目に書いてる?」って聞かれるんですけど、サバは読んでいません(笑)。サッカー選手はどうですか?

橋本:そこは見栄で大きめに書いている選手が多いんじゃないかな。例えば、うちのチームの佐々木勇人はG大阪に移籍してきたばかり時、プロフィールに168センチって書いてあって。「ホンマに168センチもあるか?」って話していたら、そのあとに下部組織からトップチームにあがったMF安田晃大(現ギラヴァンツ北九州)が165センチでさ。その晃大と勇人が並んだ時に「ほら、ほぼ一緒やん!」っていうことになり、そのあと、勇人はプロフィールの身長を165センチに訂正していたわ(笑)。身長と言えば、最近、聴乃ちゃんが気にしていた猫背、直ってきたんちゃう?まあ、それは小さくみせたいが為に猫背になった訳じゃないと思うけど。
中川:そうですね(笑)。これは… 自分の接する人が自分より身長が小さい人が多い分、目線をあわそうとしたら自然に猫背になっているという感じで。でも鳥取でちゃんと直した方がいいと言われてから意識してやっているとずいぶん、マシになった気がします。ただ…意識していないと気がついたらすぐに戻っちゃってることも多いです。
橋本:じゃあ、そこも徐々にってことやね。ところ聴乃ちゃんで一番身長が高いっていうことは…女子チームの平均身長はスターターの5人では何センチくらいなの?
中川:確か…平均で171~172センチくらいかなあ。
橋本:え!?思ったより小さい!
中川:そうなんですよ。だから意外と驚かれます。ポジションによっては165センチくらいしかない選手もいるので結局、平均するとそのくらいになっちゃうんです。
橋本:スラムダンクでいう宮城リョータのポジションは、小さくていい、と(笑)。
中川:そうですね。彼はポイントガードですが、他にもFWとかシューターは基本、そんなに身長が高くなくても大丈夫です。でもセンターは178~180センチ越えの選手が多いです。
橋本:あれ?聴乃ちゃんセンターだった?
中川:いや、私はFWです。FWで 180センチあるのは…珍しくはないけど、そんなに多くはないかな。ただ何人かはいますよ。それに私の場合は身長が大きい分、ポジションはFWとはいえ、センターの場所に入ってFWのような動きをしたりすることも結構あります。
橋本:じゃあバスケット選手って背が高ければいいって訳でもないのか。
中川:さっきも言ったようにポジションによっては大きい方が有利だとは思うけど、例え小さくても活きる方法はあると思います。あと、プレー的にも、例えばリバウンドをとるとか、ボールカットをする時は大きい方が有利だと思うけど、逆に小さくても、すばしっこく、うまく相手をすり抜けられる選手もいますから。
橋本:外国籍選手枠はあったっけ?
中川:私たちが籍を置く、ジャパンバスケットボールリーグ(JBL)には外国籍選手枠がないので、日本でプレーをしようと思ったら帰化をして、日本国籍をとらなければいけません。男子の BJリーグなんかは外国籍選手がOKなので、何人かプレーしていますけどね。
橋本:ちなみに聴乃ちゃんは、何才の時に一番身長が伸びたの?
中川:小学校の5~6年で10センチずつ、合計20センチ伸びて168センチになり、中学で10センチ伸びて178センチになって、高校の時に2センチ伸びて180センチになったんですよね。これで止まるかなと思ったらまだ伸びて、シャンソンに入ってからも2センチ伸びて、今に至る感じです。
橋本:すごいな!ご両親も背は高い?
中川:お父さんは178センチ、お母さんが170センチだから高い方だと思います。
橋本:確か妹さんが2人いたよね?妹さんたちも背は高いの?
中川:お父さんは178センチ、お母さんが170センチだから高い方だと思います。
橋本:へえ!姉妹でもそんなに違うんや!でもまだ一番下の妹さんはここからグンと伸びる可能性があるよね。
中川:そうですね。でも私の中学生時代が178センチだったことを思えば、さすがにそこには及ばないと思いますけど(笑)。
橋本:バスケット以外の他の競技に誘われたりはしなかった?

中川:陸上部から誘いを受けたことはあります。足も速かったので、そっちかなと思ったら、高飛びで(笑)。というのも、小学校6年生の時に市の小学生が集まって競い合う運動会のようなものがあったんですよね。出場種目は玉入れから、サッカーまでいろいろあって、そのどれかに出場するんですけど、私はなぜか勝手に「高飛び」に名前が入っていて。仕方なく出場したら、そこで長崎市の記録を出しちゃったんです。それもあってオファーがきたらしい。
橋本:高飛びって…背面跳びで飛んで記録を出したの?
中川:それが挟み飛びで(笑)。当然ながら全く練習はせずに挑んだし、他の選手は背面で飛んでいた中で、私は挟みで飛んで記録を出しちゃったから驚かれました。
橋本:それはすごいな!背面で飛んでいた人の記録を挟みで上回るって…もし聴乃ちゃんが背面で飛んだらすごいことになっていたんやろうな(笑)。しかも、今の高飛びの選手を見渡しても、おそらく日本人で180センチ以上の人っていないでしょ? そう考えると、海外に対抗していくには聴乃ちゃんのような背の高い陸上選手の誕生が求められているのかもしれない。垂直跳びとかも結構飛べるの?
中川:図ったことはありますけど…数字は覚えていないですね。
橋本:バスケット選手にとって、垂直跳びをどのくらい飛べるかはあまり関係ない?

中川:全く必要ないとは思わないけど、バスケットの場合、バレーボールみたいに上に直線的に飛ぶことより、走りながらのジャンプとかの方が多いから垂直跳びがいくら飛べても、あまり関係ないかも。ただ、滞空時間が長い選手は結構いますよ。私も空中プレーが好きなので他の人より滞空時間は…多少長いかも知れない。
橋本:鹿島アントラーズにいるFW 田代有三っていう選手は尋常じゃない滞空力やからね。ヘディングの時に完全に空中止まっているから。だから相手DFと競りあったとしても自分だけ空中で残っていたりしてる。あれはかなりの武器だと思うわ。だって彼自身の身長は180センチくらいしかないのに、190センチくらいの選手にも余裕で競り勝ったりしているからね。あ…そう言えば、彼も福岡大学から鹿島に入団した1年目に前十字を痛めたはずだけど、今でも元気にピョンピョン飛んでいるからね。ああいう姿を見ると、ケガで離脱中の僕らとしては励みになるよ。

text by misa takamura

中川聴乃/プロフィール
1987年4月26日生まれ。長崎県出身。182センチ。フォワード。地元長崎の仁田小学校から純心中学、純心高校と進み、高校一年生時に名古屋の強豪、桜花高校に転入。その高校3年生時には日本代表に選出される。卒業後はシャンソン化粧品に入社。シャンソンVマジックの選手として1年目から活躍し、同年のドーハアジア大会の日本代表にも選出された。その後は膝のケガに苦しめられる時期が続き、今年、手術を決意。無事手術を終えた今は、リハビリをしながら来年の復帰を目指している。