橋本英郎公式サイト「絆」
FRIENDS

vol.34 中川聴乃(バスケットボール選手)

橋本英郎(以下、橋本):まずは… 簡単に自己紹介をしてもらっていい? このホームページを見てくれている人はあまりバスケットに詳しくないかもしれないから。
中川聴乃(以下、中川):静岡のシャンソン化粧品でバスケットをやっている、中川聴乃(あきの)です。今は両膝の手術をしたばかりで関西の病院に入院しています。来シーズンの10月復帰に向けて、来年の4月あたりには練習ができたらなと思っているところです…というような感じで大丈夫ですか(笑)?
橋本:ありがとう。僕が聴乃ちゃんに初めて鳥取で会ったのは…いつだったっけ?
中川:確か去年の6月くらいだったと思います。
橋本:そっか、そっか。僕が毎年、 1月のオフ中に身体のメンテナンスにいっている鳥取のトレーニング施設があるんやけど、去年だけイレギュラーで夏のW杯による中断期間中に行っていて。その時に聴乃ちゃんも来ていて知り合ったんよね。

中川:そうそう。橋本さんは鳥取には毎年来られていたそうなんですけど、私はその時が初めてで。バスケットボールの選手は殆どいなかった分、やや心細かったので知り合いになれて良かったです。橋本さんの足の具合はどうですか?
橋本:まあまあ順調かな。8月末には全体練習にも合流できそうやし、ようやくここまできたっていう感じ。聴乃ちゃんは? 確か出会った後、一度復帰したのに、そのあとまた離脱して、今回の手術ということになったんよね?
中川:そうですね。一度復帰したんですけど、自分としては難しいというか…思うようにプレーできなくて。100%のうち30%くらいの力でしかやれないという状況での復帰だったのこともあり、これはダメだな、と。実際、ドクターに診断してもらっても、手術をしないと、もうバスケットボールができないという風にも言われたので、手術をすることに決めたんです。
橋本:具体的な手術の内容は?
中川:軟骨移植手術ですね。膝の軟骨がダメになったので、それを取り外して自分の膝の外側の軟骨を移植しました。

橋本:もともと、どういう原因で痛みを感じ始めたの?長年の蓄積によるものなのか、単発的なケガによるものなのか。
中川:基本的には使い過ぎですね。実は私、半月板も3分の2しかないんですけど、それによるダメージが軟骨にもいってしまい、今の軟骨では耐えられない状況になっていたみたいで。バスケットの選手にはよくあるケガなんですけどね。
橋本:競技性を考えても、膝に負担がくるんやろうなぁ。
中川:はい…でも結局、殆どの人がだましだましというか…我慢して注射を打ちながらやっているという状況で、私もかなり我慢していたんですけど、限界がきました。
橋本:女子は我慢強いからなぁ…っていう話を前回、このコーナーで対談した岩城ハルミさんという五輪にも出場したことのある元バトミントン選手と話していたんやけど(笑)。ハルミさんも疲労骨折を我慢して注射を打ちながらやっていたら、結果的に骨が壊死したような状態になり、結局手術した、と。でもある大会に出たくてリスタートで復帰したら、今度はその周りのお肉がそげ落ちてしまって…っていう話をしていたよ。

中川:注射打って我慢って…分かります。ただ、私は手術に踏み切る前も痛み止めの注射は打っていないんですよ。というのも、痛み止めの注射を打っても良くならないという考えが自分の中にあったから。結局その時は痛みを多少押さえられたとしてもケガそのものが良くなる訳じゃないし、むしろ悪くなってしまうことの方が多いですからね。だから私は基本的に、痛み止めの薬とヒアルロン酸を週1回くらい打って、栄養を与えるということを続けていたんですけど、結局、殆ど痛みはとれなくて。って言っても、薬を飲んでとれるような痛みではないのは分かっていたんですけどね。
橋本:このタイミングで手術に踏み切ったのは、痛みに限界がきたから?
中川:それもあるけど、いま24才ですからね。ここから先の選手人生を考えた時に今しっかり治しておかないと先はないと思ったことが一番大きかったと思う。
橋本:具体的にいつまでバスケットをしたいとか考えているの?
中川:やれるところまで、ですね。

橋本:シャンソン化粧品の所属選手をみていると、一番年齢が上の人で30才くらいだったと思うけど、バスケットの世界での30才はまだ余裕でやれる感じ?
中川:やれますね。もちろん、多少練習で調整するところはあると思いますけど、身体のケアさえしっかり出来ていればやれると思うし、私もそのくらいまでは最低でもやりたい。というのもシャンソン化粧品に入部してから、ずっとケガをしていましたからね。シャンソンに入って1年目の5月に、ナショナルの合宿にいっていたんですけど、何の前触れもなくいきなり膝が腫れてきちゃって。膝が曲がらなくなってしまったから病院に行ったら、軟骨のことを言われてしまった。そこからずっと膝の痛みを抱えてやったり、休んだりでしたから、今回はしっかり治して、とにかく痛みを感じずにバスケットを思い切りやりたい。
橋本:今後のスケジュールは?さっき、来年の4月にはっていう話をしていたけど。
中川:もう少し入院した後、今度は東京の病院で1ヶ月間、リハビリ入院をして、そこで筋力をつけるトレーニングをしてもう少し筋量をあげてから、10月くらいにチームに戻る予定です。そこから来シーズンの10月の開幕に間に合うようにと思っているので…そうなると結果的に1年くらいかけてリハビリをすることになると思います。一応、ドクターには復帰のメドは術後6ヶ月と言われていますが、私は両膝を手術しましたからね。一度に執刀すると歩けなくなるから左足を3月の末、右足を8月の半ばに手術したので、来年4月くらいにはチームの練習に合流できたらいいかなと。
橋本:そうか。先は長いけど、あまりいろいろ考えずに、やるしかないもんね。
中川:はい。そこは気長に頑張ります。

text by misa takamura

中川聴乃/プロフィール
1987年4月26日生まれ。長崎県出身。182センチ。フォワード。地元長崎の仁田小学校から純心中学、純心高校と進み、高校一年生時に名古屋の強豪、桜花高校に転入。その高校3年生時には日本代表に選出される。卒業後はシャンソン化粧品に入社。シャンソンVマジックの選手として1年目から活躍し、同年のドーハアジア大会の日本代表にも選出された。その後は膝のケガに苦しめられる時期が続き、今年、手術を決意。無事手術を終えた今は、リハビリをしながら来年の復帰を目指している。