橋本英郎公式サイト「絆」
FRIENDS

vol.4 加藤美樹(DJ)

加藤 :トップにあがってからは嫌になることはなかったんですか?
橋本 :そうですね。それでも1年目は怖い先輩もいたし「サテライトでいいや」って思っていたりもしたけど(笑)、2年目になって「このまま試合に出なければクビになるな」って思い出して。「とりあえず絶対に1試合は出ないと!」と思っていたら、アントネッティっていうフランス人監督が使ってくれた。理由は「真面目にサテライトで黙々と練習をし、挨拶をちゃんとしたから」って(笑)。しかも、出してもらった試合で点を獲ったんですよね。ナビスコの予選リーグで、すでに消化試合になっていたんですけど。で、「良かった~」って思っていたら、次のJリーグにも出してもらって。「これでもう、クビになっても『俺はJ リーグに出た』って胸を張って言えるな」と(笑)。
加藤 :当時は代表選手になりたいとか、思っていました?
橋本 :全く思っていません。去年くらいからオシム監督になったから、っていうのもあって、ようやく「代表に1試合でも出たら、Aマッチ出場の記録に残る」って言い始めたりしましたけど、それまでは全然でした(笑)。
加藤 :なるって想像もしていなかったんですか?
橋本 :はい。小学校の時は夢もありましたけど、中学の時に現実を知りましたから、無理だと(笑)。
加藤 :客観的に、今、自分はどうして日本代表に選ばれていると思いますぅ?
橋本 :正直、分からないんですよね。だからオシム監督の通訳さんを通して聞いたりしていて…一番最初に招集された時は「最後まで練習していれば分かると思う」って言われたんですけど、そしたら最後の練習試合で左サイドバックで起用されて。「ああ、今季はガンバでも左サイドバックの練習をしているからか」って分かったんですけど、その後も呼び続けてもらっているのはなぜか分からない。まあ、結論としては、とりあえず嫌がらずにどのポジションでも、やるからかな、って最近は思いますけどね。与えられたポジションを嫌がらず、しっかりやろうとするのが監督的にはいいのかな、と。それくらいしか、自分で思いあたる理由はないですから(笑)。だって、他に違う理由があれば、代表戦にもっと出ていると思うんですよ。でも出られない理由は、そこにあって。そうやっていろんなところが出来ても、1つのポジションで試合に出るラインを越えているかと言えば、そうじゃない。たぶんそれを越える可能性はあると見てくれてはいるとは思うけど、でも、それをちゃんと結果で出さないと今の状態から抜けられないし、若い選手で僕と同じようなタイプの選手が出て来たら、とっととそっちに切り替えられてしまうと思う。
加藤 :その試合に出るラインには、何が足りないんですかぁ?

橋本 :守備力です。代表に関してはそこをしっかり上げていかないと…特に今の代表っていうのは、決定力不足と言われているとはいえ、守備では結構守れているんですよね。強いチームが相手でも、ね。だからこそ最低でも今、試合に出ている選手のレベルに達しないと守備の選手は出られない。特に守備にはしっかりした選手がある程度揃っているだけに、そこに割って入るのは難しいし。だからこそ、自分がしっかりレベルを上げないといけないと思う。前線には、今はまだ高原のような、ずば抜けてプレーできる選手がいない分、いろんな選手を試して、いろんな形を作って、っていうことも出来ると思うんですけど、後ろはそれができないと思うから。
加藤 :それでも、代表に呼ばれて代表メンバーと一緒にプレイするのは、客観的に自分を見れてプラスになるんでしょ?
橋本 :自分に何が足りないが、はっきり分かりますからね。分かるだけに、ここにいれるのもおかしい気もするって思うんだけど、さっきも言ったように、どこでもやれるから、いれる。同じポジションをやる選手で僕より力があって、でも呼ばれていない選手がいるとしたら、その人はたぶん、僕がやるようなポジションはやりたがらないし、やらないと思いますし…っていう理由だと思うんです。
加藤 :でもやっぱり、悔しいでしょ?
橋本 :試合に行くと悔しかったりしますね。重ねれば、重ねるほど。アジアカップは一番ね…途中から出たいなって思うようになってきましたね。一発の試合だと、終わったらすぐに解散だから切り換えられるけど、アジアカップみたいな長期的な戦いは試合の後もその場にいないといけないから。
加藤 :ガンバではここ数年、コンスタントに試合に出ていますもんねぇ?
橋本 :まあ、今のところは、ですけどね。
加藤 :キープし続けるのはすごく大変なことだと思うんですけど?どうなんですか?
橋本 :だと思います。特に僕はケガをしているからこそ、キープ出来ない嫌な感じっていうのは経験しているし、だから、キープしようって気持ちもあるし、でもキープじゃダメだとも思いますけどね。ただ、その部分については、代表でいいきっかけを与えてもらったというか。ちゃんと上を見てやれるようになっていますから。
加藤 :代表になってから、目標とか、自分の欲とかは高まりましたぁ?
橋本 :う~ん。自分の技術やメンタルに対する要求は高まりましたね。今まではそういうのはあまり考えていなくて、まずはチームで試合に出ることが大事だったんですけど。もちろん、それは今も変わらないですけど、それプラスで考えることは増えた。ただ…そんな上ばっかり見ていてもね。最近は足元がぐらついてるんじゃないか、って思ったりもするし。そういう意味では、やっぱり足元からしっかりっていう気持ちは強いです。
加藤 :そういったことを色々考えながら、厳しい舞台で戦っているからこそ、顔つきも変わってきたんでしょうね。ところで、漠然としているけど、日本代表として海外チームとかと対戦してみて、試合に出た中でも、外から見た中でも、日本のサッカーのレベルをどう感じています?
橋本 :僕が思うに、悲しいですけど、世界とはだいぶ差がありますね。ショックなくらい…世界との差は本当にある。まず、体格が違う。これは、どうしようもないポイントで、明らかに見劣りしますからね。でも、裏を返せば、差はその身体能力だけなんですよ。でもそれがすごい差なんです。その差が結局、ボールが早く蹴れるとかっていうことに、繋がっていくから。判断の早さとかはついて行けるんだけど、ただ、当たりだったりを考えると、速さの中で同じプレーを続けるのは難しい。同じようにスペースを与えられて、同じようにキックしろっていわれたら、同じ事はできるんですよ。ただ、そこに絶対的な体格の差がありますから。それをふまえて、っていう部分で、中村俊輔さんとか高原は上手なんですよね。だから、海外でもやっていける。そういう部分を僕らもつけないと、海外のチームには通用しないかなって思う。
加藤 :俊輔さんはもともと備わっているポテンシャルもあるんでしょうけど、やっぱり海外でやったからこそ身に付いたものも多いんでしょうねぇ?
橋本 :そうですね。繰り返しになりますけど、変な話、体格差はあっても、他の部分はそんなに差がないから、その差を埋めるものをちゃんと身につければ、ああして活躍もできる。だから海外にいって、その部分を積み重ねていく必要もあると思うんです。日本国内では、日本でプレーしている外国籍選手に対してくらいしか磨く場がないですから。
加藤 :じゃあ、やっぱり日本人選手はどんどん海外に出た方がいいんですかぁ?

橋本 :一概には言えないですけどね。日本でいい外国籍選手に対して、しっかり対応できるようになることで鍛えられることも出来ると思うので。ただ、いずれにせよ、それをベースにあげていく必要はあると思う。スイス戦がいい例で、あの試合は体格差が完全に出ましたからね。獲れそうだけど、獲れない。しっかり寄せるスピードがついてきていても、ブロックされたり競り合いで負けたり。こぼれ球の1対1で負けたり、ね。ただ、そうやって考えても、僕はオシム監督のやっていることは間違ってないと思うんですよね。っていうか、日本人のことを本当に考えてやっている。何て言うか、日本人がやるとより効率的なことを追究しながらチームを作っている。簡単な話、すぐに結果では表れない事、出来ない事を求められているのが分かる。
加藤 :なんか、世界と戦っている感じが漂っていますね。すごいですよね。
橋本 :試合に、出てないですけどね。まぁ、これから徐々にあげていって、まずは日本代表で5試合出場を目指しているんですけど(笑)。
加藤 :さっきの話だと、ジュニアユースやユースの時は、うまい選手の中でやると試合に出られないし、つまらないっていう感じがあったけど、代表で試合に出られなくてもつまらなくはないんですか?
橋本 :メインは代表じゃないですからね。自分の居場所が代表しかなければつまらないと思うけど、メインのガンバでは試合に出してもらっていますから。でもガンバで出られなくなったらつまらなくなるだろうなって思う。
加藤 :ハシくんにとって、ライバルはだれですか?
橋本 :代表で言うなら(鈴木)啓太ですけど、基本は、あまり考えないですね。
加藤 :憧れは?目標とかは?
橋本 :目標はあるけど、いつも人じゃない。今言ったみたいに5試合とか、こういうプレーが出来るようになりたいとか、そっちですね。美樹さんはありますか?
加藤 :ないかなぁ。私も目標とか、そんなに描かないですね。もちろん、ちょこっと先のことで、こんな風になったらいいなぁ、とか、これをきちんとやろうとか、そういうのはありますけど。これまでもあまり人と競り合うことはしてこなかったかもしれないですね。
橋本 :モデルの時とかはないですか?
加藤 :モデル時代はみんながライバルで…ってテレビで梅宮アンナさんが、言っていたけど(笑)、私は全然ない。私たちの時代って、それぞれ、みんなキャラクターが違っていたから、競い合う理由がなかったんです。だから楽しかったのかも。それぞれがお互いを敬っていたと思うし。
橋本 :みんな、いろんな人生があるんですね。って締めに入っていますけど、いいですか?
加藤 :もう、十分ですよぉ。いろんなお話を聞けたから。こんなに真面目にサッカーの話しを聞いたことないので面白かったです(笑)。でもその真面目さが積み重なって、今があるんですね。
橋本 :ガンバのチームメイトはあまり真面目とは思ってないですけどね(笑)。そういえば、この前、若い選手に「怒ったことはありますか?」って風呂場で聞かれた(笑)。
加藤 :あります?
橋本 :ありますよ。すぐに思い出せないけど、でも…そいつにも聞いたんですよね。「うちのチームで怒ったことありそうなやつっているか?」って。そしたら「確かにいないですね」って笑ってた(笑)。うちは穏やかですから。というわけで、美樹さん、今日は初ゲストにふさわしい面白い話を、ありがとうございました!また保健室の先生の声で僕やリスナーの方を楽しませてください。
加藤 :ありがとうございます。これからも応援しています。がんばってください!

text by/misa takamura

加藤美樹/プロフィール
3月26日生まれ。B型。1994年の802DJオーディションに合格。音楽に、生活に、独自の優しい視点をもつ彼女。802のお昼の顔として人気上昇中。
現在の担当番組:「FLOWER AFTERNOON」 MON-TUE 13:00-16:00、「フロム・エー/フロム・エー ナビ SUPER J-HITS RADIO」 SUN 19:00-22:00